5月18~19日に、日本と太平洋の島嶼国による第8回太平洋・島サミットが福島県いわき市で開催された。今回の太平洋・島サミットの首脳宣言では、開発・発展、水産資源の管理、環境問題に加え、安全保障と戦略の側面にも重きが置かれた。首脳宣言の注目点は次の通りである。
・太平洋において、法の支配に基づく自由で開かれた持続可能な海洋秩序の重要性を強調。(a)法の支配及び航行の自由の普及及び定着、(b)連結性の強化を通じた経済的繁栄の追求、(c)海上安全及び防災の分野における協力等の平和と安定に対するコミットメントの3本柱から成る「自由で開かれたインド太平洋戦略」等による積極的かつ建設的な貢献を歓迎。
・全ての国が航行及び上空飛行の自由、その他の国際的に適法な海洋の利用を含む国際法を尊重することの重要性を改めて表明。国家が国連海洋法条約を始めとする国際法に基づき領土及び海洋に係る主張を行うとともに、自制し、武力による威嚇又は武力の行使に訴えることなく平和的方法により紛争を解決することの重要性を強調。
・海洋安全保障及び海上安全の分野において緊密に連携する意図を再確認。国境管理及び警備を含む,海上安全及び海上法執行の分野における太平洋諸島フォーラム島嶼国のための能力構築の重要性を改めて表明。安倍総理は、海上法執行及び北朝鮮関連の国連安全保障理事会決議の履行に関する太平洋島嶼国のための能力構築プログラムの立上げを発表。
・港湾及び空港等、国際スタンダードにのっとった、開かれ、透明で、非排他的かつ持続可能な形での、主権及び平和的利用を尊重する、質の高いインフラ整備を進めていくことの重要性を強調。
・4月下旬の南北首脳会談において発出された「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言文」を歓迎。米朝首脳会談を通じ、この目標に向けた北朝鮮による具体的な行動が示されることに期待を表明。国連安全保障理事会決議を完全に履行・執行し、北朝鮮に対して圧力をかけ続けていく。「瀬取り」を含む北朝鮮による制裁回避戦術に対して深刻な懸念を表明し、自国が旗国となっている貿易又は漁業に従事する北朝鮮船舶の船舶登録の解除を含め、関連の国連安全保障理事会決議に従った取組を加速させていく。
出典:第8回太平洋・島サミット(PALM8)首脳宣言(外務省ホームページ)