2024年4月27日(土)

家電口論

2018年10月6日

白物家電はローカライズして初めて使いやすくなる

 テレビは黒モノ家電です。テレビはチューナーとコンセントを取り替えると、基本世界各国で使えます。となるとパネルなどは、凄まじく多く作って安さを狙うのがポイント。この「凄まじく」というのに日本は対応できませんでした。結果、中国に居場所を取られてしまいました。

 ところが、白物家電はそうではありません。冷蔵庫の霜取りもそうです。日本は高温多湿。欧米のドライな気候とは違います。このため欧米の冷蔵庫を、日本で使った場合、霜が尽きすぎて大変だったとか。気温、湿度、風俗など、その地域、地域にあった対応が必要です。

 今、家の密閉化(省エネ化)が進んだ結果、海外のモノをそのまま持って来ても不自由ない場合が多くなってきています。しかし、メンタルにまで根ざす形で時間をかけて作られてきた白物家電は、そのエリア独特の機能があります。日本の空気清浄機は、その感が特に強いと言うと言いすぎでしょうか?

 ガラパゴスは「取り残された」という意味で使われることが多いのですが、日本の空気清浄機の場合、独自進化を上手く遂げたと考えた方がベターだと思います。

COWAYの空気清浄機

 メインラインナップは、AIRMEGA(エアメガ)シリーズ。この様な話しをするメーカーの製品らしく、フィルターのみで構成されたシンプルな空気清浄機です。いわゆる世界標準で、スウェーデンのブルーエア、日本のcado(カドー)なども同様の構成です。世界の大国は面積が大きいので基本は大陸気候。日本とは大きく違います。また低湿なため、日本ほどカビ胞子の浮遊などはもありません。このため、フィルターのみの構成で、メンテナンスはフィルター交換というのがとても扱いやすい仕様です。前述のAmazonとのDRSの協業は、このフィルター交換をより楽にするサービスです。

AIRMEGA 400から MAX2 Greenフィルターを外した所。ワンタッチで取り替え可能

 私が面白いのは、カスタムフィルターです。ここにはローカライズがあります。カスタムフィルターには、黄砂フィルター、新築フィルター、ダブル脱臭フィルターの3種類があります。私、黄砂フィルターは初めて見ましたが、日本でも黄砂が問題になるので、より近い韓国だとより被害甚大なんだろうと思いました。

 魅力は、ちょっとレトロ調のデザインでしょうか。

 AIRMEGAは、300(〜38畳)、400(〜48畳)、600(〜41畳)とあり、最上位機種の600は各種センサーで空気の状態が示されます。

AIRMEGA 400。スツールの様なデザイン

 ちょっと変わっているのは、AIRMEGA STORM(エアメガ ストーム)。これはかなり強力なマルチサーキュレーションが入っており、ノーマル、サークル、ジェットと3つの気流がでます。空気清浄機は、気流があると言ってもほとんど感じられないのですが、STORMははっきり感じられます。ちょっと、ダイソンの空気清浄機能付き扇風機、Dyson Pure Cool(ダイソン ピュア クール)に似ているかもしれません。

AIRMEGA STORM。マルチサーキュレーション搭載

 ただ、ちょっと気になるところもあります。それは規格に対するアプローチです。日本で販売する場合、基本「JEM」(日本電機工業会)への適合した値を掲載します。が、フィルター構成(COWAYのいう世界標準仕様)の場合、それだけでなく、アメリカで使われる規格「AHAM」(アメリカ家電製品協会)のCADR値(Clean Air Delivery Rate)をカタログでうたうのが常です。CADR値は、1分でどの位空気をキレイにするかということで、海外の広々としたリビングなど、大きな空間で目安にし易いデーターです。このデーターがAIRMEGAのカタログには掲載されていません。これだと、同様の構成のブルーエアー、カドーに比べて能力がどのレベルにあるのかが分かりません。この2社の製品は、デザインも優れており、売りはCOWAYと同じです。

 今、日本メーカー、彼らが言うところの「国際標準でない仕様」の空気清浄機もCADR値を掲載するようになりました。これは中国が、AHAMに準じたGB規格(中国は何でも自国規格としてしまいます)を採用しており、CADR値が必要だからでもあります。今回のCOWAYの主張だけでは、AIRMEGAの製品判定はちょっとしづらい様思います。


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