2024年4月16日(火)

ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2018年12月17日

『中学受験「必笑法」』
(おおたとしまさ、中央公論新社)

小川:僕の書籍のテーマやセミナーの内容が、ここ数年、中学受験から子育てへ移っているのは、自分の息子が育つのを見ていたら、受験の知識やテクニックというものは、ある程度勉強すれば誰でも教えられることで、僕が教えることではないなと思うようになったからなんです。

おおた:へぇ、そうなんですか!

小川:子どもって、親の予想通りには育たないじゃないですか。予想通りにいかずはがゆい思いをすることもあるけど、軽々と予想を超えて見せてくれることもあります。僕は、そういうわが子の姿を見ているだけで楽しい。だったら、親の予想通りに行く必要もないわけです。僕は、自分が息子に何か教えるのではなくて、子どもに教えてもらいながら子育てをしたいなと思ったんですよね。

おおた:僕は、上の息子が小さいとき、「パパは僕のヒーローだ」と言ってもらえるような父親になりたいと期待していました。でも、子どもと一緒にいると、僕のほうが「こいつは本当にすごい、チビは俺のヒーローだ!」と思うようになったんですね。子育てに関わることで、親になるまでの人生の中でこびりついてしまった価値観や固定観念が、いったんリセットされたような感覚がありました。親としての自分がどんどん自由になって、どんどん導かれている。

小川:素敵なエピソードですよね。子どもって、こっちのことを見ているじゃないですか。尊敬されたくて虚勢を張っても、悲しいかな見破ってるのがわかりますしね。僕なんて、明日の朝ちょっとだけ勉強を見てあげると言っておきながら、夜中に泥酔状態で帰宅し、服を脱ぎ散らかしたまま熟睡してまったく起きないということが、年に何十回もありますから(笑)。

おおた:でも小川さんは、息子さんが小さい頃は、勉強を教えていたんでしょう?

小川:いえ、教えるというか、一緒に遊んでいました。たとえば、数の数え方を覚えさせたいとき、教材を揃えなきゃとか、早期教育を受けさせなきゃ、となってしまう親御さんは多いんですね。いやいや、お風呂で一緒に数を数えるだけでいいんですよ、と。必死になる必要はなく、100までの数え上げだとしたら、交互に言い合ったり、子どもが詰まったらバトンタッチしてあげたり、遊びの要素を足すと子どもにとっては親子でやるお遊戯のように楽しくなります。もっと気楽でいいんですよ。おおたさんは、二人のお子さんがまだ小さいときに、それぞれと別の場所へ海外旅行されていますよね。あれはどういうきっかけで?

おおた:教職課程を履修しているとき、「人のアイデンティティは10歳のときに属していた文化に大きな影響を受ける」という説を知りました。つまり、「10歳になったときにどこで何を見るかが大事」ということです。そのとき頭に浮かんだのが『少年ケニヤ』でした。父とはぐれた日本人の少年が、アフリカで仲間のマサイ族の酋長やジャングルの動物たちとともに運命を切り開いていく姿を描いた物語ですね。わが子が生まれたら、どんな時代になっても、どんなところにいても、たくましく生きていける人になって欲しいと思い、わが子が10歳になったときに、多様な文化・文明や大自然に触れられ、時代をも超越したような国へ一緒に行こうと、親になる前から目標にしていたんです。それで、息子とはアフリカのタンザニアへ、下の娘とはタスマニアへ、それぞれ1週間ほど旅に出ました。

小川:スケールがでかいなあ~! 男親が子育てに関わると、時間軸が大きくなりますよね。

おおた:子どもが小さいうちは、親としてあれもしてやりたい、これもしてやりたいと考えますよね。でも、親をやればやるほどに、そういうことって瑣末なことなんだと思えてくる。つくづく親は無力であり、それに気づくことで無敵になれるのかなと。それでいいんだよな~と、今は確信していますね。


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