2024年7月21日(日)

ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2018年12月17日

「ねばならない」に縛られないために大切なこと

小川:本当にその通りですよね。でも、周囲のお父さんを見ていると、子育てに関する本当にちょっとしたことを知らなくて困っている人がとても多いんですよ。「遊んであげなくちゃいけない」と思っているとかね。

おおた:なるほど、なるほど。「一緒に遊んじゃえ」でいいのに、なかなかそうなれない、と。

小川:そうそう。おおたさんは子育てに関するルポも執筆されていて、たくさんの親御さんに聞き取りをされているから実感があると思いますが、もっと子育てに参加しようというお父さんや、共働きの妻を助けたいと考えているお父さんは確かに増えていますよね。ただ、よく話を聞いていると、なんだか大変そうなんです。どうしてかな? と考えてみてわかったんですけど、どこかで「ねばならない」に縛られているのではないかと。

おおた:「遊んであげなければならない」「もっと一緒にいてあげなければならない」「勉強を見てあげなければならない」……。

小川:そうなんです。それだと、親御さん自身が楽しくないですよね。すべてが「ねばならない」から始まってしまうわけですから。

おおた:もしかしたら、大人はこうあるべきとか、親はこうあるべきといった、「大人モデル」や「親モデル」に自分を当てはめていこうとする人は少なくないのかもしれないですね。母親にも父親にも言えることだとは思いますけど、特に男性のほうが「ねばならない」に縛られてしまう社会的な要因もある気がします。で、思うんですけどね。僕も小川さんもまともに会社勤めしてじゃないですか(笑)。僕たちがこういう人生を選んだことと、僕たちの子育て観って、関係あるのかもしれませんね。

小川:なるほど! 言われてみればそうですね。いや、とは言え、おおたさんは独立される前は大企業の会社員だったわけですから、少なくとも就活で面接は受けたでしょう。僕は人生で一度も面接というものを受けたことがないんです(笑)。

おおた:やりたいことを好き勝手にやって生きて、何か起こったとしても「どうにかなるさ」と楽観的なのは、きっと二人とも同じですよ。僕は、息子が誕生した後、子どもが「パパ~」っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年だから、今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔すると思って、会社を辞めて独立しました。息子が大きくなって部活を辞めると言ったとき、妻は慌てて僕に相談したんだけど、「いや~、僕、会社辞めちゃったしな~」って(笑)。

小川:そもそも言う資格がないと(笑)。

おおた:そうそう。中学や高校の先生がよくおっしゃるのは、子どもに何か問題が起こってバタバタしたとき、慌てずに腹を据えられる親御さんは、ご自身が社会人として自立しているんだそうです。企業人だとしても会社に依存した働き方をしていなかったり、専業主婦だとしても自分の世界を持っているような方々ですね。だから、いざというとき、自営業の親御さんは強いそうです。つまり、何かに依存してしまっている自分ではなく、一人の人間としてのモノサシを持とうとしているかどうかが大事になってくるということなんでしょうね。

小川:今の話を聞いて、すごく腑に落ちたことがあります。個別指導教室の学習面談で親御さんと向き合ってきた経験がベースになり、最近、企業の人材教育へと僕の仕事のフィールドが広がっています。ある企業研修で、「あなたにとってこのミッションはどんな意味を持ちますか」という問いを出し、記述解答してもらったんですね。僕としては、「あなたという一人の人の人生において、この研修はどういう意味を持つか」について、自分なりに考えて言葉にしてほしいという意図がありました。受講者は50人ほどいたのですが、その中でその研修と自分の人生と紐付けて考えた人はほとんどいませんでした。「部署の業績に貢献したいです」「お客様とのコミュニケーションにおけるスキルアップを目指す、よい機会と捉えています」というふうに、組織の中の自分の役割という視点から答えている方が多数だったんです。

おおた:個を組織でどう活かしていくかということではなく、組織の一部としての自分の最適化を図ろうということですね。

小川:まさに、それです。自分という存在について考える前に、会社人である自分という存在のほうが優先されるのが当たり前で、それ以外の発想が持てなくなってしまうんだな、と。想定外だったので、すごくびっくりしたんですよね。


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