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2019年1月11日

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矢沢彰悟 (やざわ・しょうご)

大学卒業後、スポーツカメラマンやライターとして活動するも、学生時代から携わっていたサッカー指導者としての道を本気で志すため2015年、スペインのバルセロナに。現地の監督養成学校にて監督ライセンスを取得し、現地の少年から大人までの監督、 コーチを歴任する。 スペイン監督最高ライセンスを取得し、現在は国内クラブの育成年代を指導する。

リーグ戦は“夢の舞台”ではない

 では選手たちから見て、リーグ戦は“夢の舞台”なのだろうか? そんなことはない。リーグ戦は選手の実力関係なく、毎年どの選手も自分に適したレベルのリーグに出ることができる。言ってしまえば、毎年やってくる“ルーティーン”だ。

”絶対に負けられない戦い”の前にはチームの一体感も高まる

 しかしこちらで指導者をやっている身として、はっきり感じていることがある。

 「スペインで毎週末行われているリーグ戦は、日本の高校サッカー選手権と同じか、それ以上のテンションで戦われている」

 “絶対に負けられない戦いがそこにはある”とはどこかで聞いたフレーズだが、まさにそのテンションで約10カ月間、毎週末に行われる試合を戦っているのだ。

 そこには年代も1部リーグか4部リーグかも関係ない。まさしく全員が本気なのだ。決して日本の選手たちが本気ではないとか、全力でプレーしていないと言いたいわけではない。だが、テンションの違いは明らかにある。例えば日本で日常的に行われる練習試合と高校選手権では、同じテンションでプレーするのだろうか?

 いや、それは絶対にない。選手たちは常に「全力」でプレーしていると思う。だが「テンション」は明らかに違う。ゴールを決めた後の喜び具合を見れば、それはわかる。

 当たり前だ。普通の練習試合と、選手権の試合を同じテンションでプレーできるわけがない。なぜならそこは、入学当初から目標とし、県を代表して、自校を代表して負けたら終わりの試合を戦う“夢の舞台”なのだ。

 「夢があるから頑張れる」。それは間違いないだろう。夢や目標に向かって日々努力することは、モチベーションの保ち方として一つある。

 しかしその姿勢は、実は脆い側面を併せ持つ。なぜなら目標を見失ったときや、届かなかった時、自分がその場にいる意味を失ってしまうことがあるからだ。

 それまでの努力が無駄だったかのように思い込み、強い喪失感から最悪の場合はバーンアウトもあり得る。何せ目標の舞台にたどり着くことができるのは0.4%。ほんの一握り。ほとんどの選手はその舞台にたどり着くことなく青春時代を終える。

 「もし目標に届かなくても、それを目指したプロセスには意味がある」

 その通りだ。100%同意する。だがそれは悔いのないほどの努力をした者にしか適用されない。つまり、常日頃から自分のベストを尽くすという姿勢を持ち続けた者だ。

 翻って、スペインの 選手たちはどうか。少なくともバーンアウトしたという選手は聞いたことがない。なぜなら彼らは毎年やってくるリーグ戦というルーティーンの中に身を置き、常に目の前のことに全てをかけているからだ。

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