(1)深夜の生体展示規制
(2)移動販売
(3)対面販売・対面説明・現物確認の義務化
(4)犬猫オークション市場(せり市)
(5)犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢
(6)犬猫の繁殖制限措置
(7)飼養施設の適正化
(8)動物取扱業の業種追加の検討(動物の死体火葬・埋葬業者、両生類・魚類販売業者、老犬・老猫ホーム、動物の愛護を目的とする団体、教育・公益目的の団体)
(9)関連法令違反時の扱い(登録拒否等の再検討)
(10)登録取消の運用の強化
(11)業種の適用除外(動物園・水族館)
(12)動物取扱責任者研修の緩和(回数や動物園水族館・動物病院の扱い検討)
(13)販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務項の緩和の検討)
(14)許可制の検討(登録制から許可制に強化する必要性の検討)
この中でも、特に委員の意見がまとまりづらいのが(5)犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢 だという。欧米諸国のほとんどの国で幼齢動物を親兄弟から引き離す日齢を8週齢以降しなければならない」という法律があり、日本も何らかの規制が必要ではないか、という議論である。
7週齢か、8週齢か
それとも・・・
ペットショップに並んでいる犬猫を見ても分かるように、日本人は小さい子犬・子猫を好む傾向にある。そのため、繁殖業者やペットショップは、少しでも小さいうちに売り出したい。必然的に幼いうちに親から引き離される、ということになる。繁殖業者とペットショップの間にオークション(せり市)を介する場合は、さらに数日を要すため、業者はますますスタートを早めたがる。ブリーダーから直接購入することが一般的な諸外国とは異なる日本のこの流通システムの問題点は、昔から指摘されていた。不透明な部分も大きいが、オークションにかけられる時には生後40日前後が平均日数ではないか、と言われている。
幼くして親から引き離されることによって、犬や猫にどのような影響があるのだろうか。動物行動学が専門の加隈良枝・帝京科学大学講師によると、「犬の場合、3~14週齢は『社会化期』と言われ、親兄弟と一緒に過ごしたり外部からの刺激に徐々に慣れていったりするための非常に重要な時期になります。この繊細な時期に他の犬と触れ合えないと、成長してから、過剰に怖がる、吠えグセがつく、などいわゆる『問題行動』を起こしやすくなります」という。問題行動によって、飼い主が手に負えなくなり捨ててしまい、殺処分に至るという悪循環を生むため、8週齢規制が望ましい、というわけだ。
しかし、何らかの規制が必要であっても、線をどこに引くかとなると、実に難しい。確かに海外の先進国の多くは8週齢だが、「8週齢より早く引き離されたペットが問題行動を起こしやすい、といった研究結果はあるものの、断言できるまでの材料は揃っていないというのが現状です。そして、日本で販売されているのは小型犬が多く、成長が早いため、7週齢でももしかすると大丈夫かもしれない、という考え方もできなくはありません」(加隈講師)という意見もある。委員会の中では、7週齢でもよいのでは、という意見と、海外も採用するより安全性側にふった8週齢にするべきだという意見と、45日程度が現実的ではないかという意見があるそうだ。