栖来ひかりが綴る「日本人に伝えたい台湾のリアル」

2019年3月7日

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栖来ひかり (すみき・ひかり)

台湾在住ライター

京都市立芸術大学美術学部卒。2006年より台湾在住。日本の各媒体に台湾事情を寄稿している。著書に『在台灣尋找Y字路/台湾、Y字路さがし』(2017年、玉山社)、『山口,西京都的古城之美』(2018年、幸福文化)、『台湾と山口をつなぐ旅』(2018年、西日本出版社)がある。 個人ブログ:『台北歳時記~taipei story』

「マンゴーかき氷」は日台のハイブリッド料理

 実際「マンゴーかき氷」で名高い台湾のかき氷だが、これも台湾と日本のハイブリッド料理である。もともと中華文化において、小豆や緑豆など色んな豆を少し甘めに煮てぜんざいのように食べることが行われていた。一方、氷を細かく削って食べるのは日本では平安時代から記録があり、これが日本時代に台湾へと持ちこまれ、両者が合体して現在の「台湾風かき氷」が出来上がった(さらにマンゴーなどのフルーツが載るようになったのは割と最近)と教えてくれたのは、台湾の冷たいデザートについての著作もあり、美食家として知られるハリー・チェン氏だ。

 また「台湾料理」という言葉自体、日本時代に日本人によって付けられたという話もある。

(参考記事:「台湾料理」は何料理?

 筆者の大岡響子氏は、「台湾料理とは何か」を説明することの難しさは、台湾が経験してきた歴史の屈折と複雑な折り重なりからくると書いており、たしかにそれは「台湾とは、台湾人とはなにか」を説明する難しさに似ている。

台湾屋台の代表的料理のひとつ牡蠣そうめん(写真:筆者提供)

「本場の味」が消えていく水餃子……

 実際、とあるグルメな友人(台湾人)は、近年の「台湾アイデンティティー」の高まりによって水餃子の味がどんどん落ちている、と嘆いていた。いわく、戦後の移民で来た人々も二世三世となって台湾化が進んだ結果、戦後に持ち込まれた「本場の味」に影響を与えているという(とはいっても、この友人バリバリの緑派*なのだが)。

 *台湾独立を指向する政党支持者のことを「緑派」と呼ぶ

 たしかに人気の餃子店にいっても、キムチ味とかカレー味とか、元々の水餃子からかけ離れた得体の知れないものが増えた。また中山堂前の上海隆記菜館もついに昨年閉店し、昔ながらの中国各地料理を標榜する老舗レストランは減る一方だが、逆に「北京餃子」の人気店や上海で大流行している「蒸し鍋」レストランなど、現代中国から進出してくるレストランも増えている。

台湾は雲南料理もおいしい。日本人に大人気の「人和園」の豆スープ(写真:筆者提供)

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