月の満ち欠けを基準にした太陰暦(中国暦・旧暦)で旧正月を祝う台湾は、まもなく春節の連休に突入する。今年は2月4日が大晦日で、西洋暦との間にずれがあるため、日時や長さは毎年異なり今年は9連休となる。
この連休に乗じて中華圏では帰省ラッシュなど民族大移動が起こる訳だが、台湾ではとりわけ海外へ出かける人が多く、その行き先として最も人気のあるのが、片道2~5時間圏内にある日本である。
2月はじめといえば日本国内はオフシーズン、飲食店でも昔から「ニッパチ」、つまり2月と8月は一年の中で最も景気が悪いと言われてきたほどで、中華圏からの春節旅行客の足取りが気になる方々も多いのではないだろうか。
地方の観光を支えている台湾人
観光庁が日本全国の港や空港から帰る直前の外国人旅行者に出口調査を行った「訪日外国人消費動向調査」(2019年1月16日速報版)によると、2018年訪日外国人旅行消費額は過去最高の4.5兆円を突破し、2012年より7年連続で伸び続けている。その中でも台湾からの旅行客は全体の13%で、中国からの34.1%は下回るが、中国の人口が14億人弱ということを考えれば、人口2350万人の台湾は驚異的な割合で日本へ旅行客を送り出しているといえる。
ちなみに、同じく観光庁のデータをもとにした「都道府県別、外国人宿泊者数構成比(国別トップ5)」というデータでは、東北や北陸など地方における宿泊者合計のおよそ半数が台湾からの旅行客であることを示している。言ってみれば、地方の観光を支える外国人旅行客は台湾人、と言ってもいいかもしれない。
そんな訳で、日本全国の自治体や観光協会は地域に対して、台湾や香港で使われる「繁体字」と、中国で使われる「簡体字」の表記を区別するように是非とも周知してもらえたらと思う。パンフレットや看板が「繁体字」で表記されているだけでも、台湾人の感じる「ウェルカム」度は格段に上がるからだ。