2022年8月13日(土)

Wedge REPORT

2019年6月1日

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公民館から誕生した「地域ジン」たち

河内 「公民館のイメージチェンジ」、そして公民館は可能性があるということを信じていろいろと活動しています。

 人が変わり、まちが変わる、「学びのカフェ」物語。この物語は、玖波公民館の自主事業、「学びのカフェ」の学びを通して誕生した「地域ジン」が玖波公民館と共にまちを元気にしていくお話です。

磯山氏(左)、河内氏(右、写真・生津勝隆)

 この物語は3章から成っています。第1章――まずは住民同士の横のつながりだけを構築していきます。地域課題には触れません。そして第2章――3年目、今度は地域課題を住民と共に考えていく「地域ジン學びのカフェ」にバージョンアップしていきます。そして第3章――4年目、「地域ジンまちカフェプロジェクト」が誕生してきます。「地域ジン」とは、「学びのカフェ」を受講した地域の住民のことです。

 物語の舞台であります玖波。玖波は、西国街道宿場町、白壁の美しい歴史と癒やしの町です。しかし、人口がどんどん減少して、過疎化そして高齢化が進んでおります。そして、人と人のつながりも希薄化しております。人口4500人ぐらい。そこに大変古い玖波公民館というぼろぼろの公民館があります。昭和49年なので、厳密には築42年です。そこで常駐職員が私1人です。

 物語は6年前に始まりました。第1章、「学びのカフェ」スタート。そのころ玖波公民館は、いつも同じ固定客のみが利用している貸し館状態でした。また、公民館職員は私1人です。何とかしたいと毎日考えていました。そこで、貸し館からの脱皮、「学びのカフェ」というおしゃれ空間を考えました。居心地が良くてゆったりできる空間、自由に語り合うスタイルの活動です。公民館のイメージチェンジを図りたいと思いました。ダサい・暗い・やぼったい、そんなイメージから、明るくオシャレな感じにして、人を増やしたいと思いました。

 「学びのカフェ」は月1回、歴史・文化だけでなく人材も発掘していきます。題材はタイムリーなものにする。そしてフェイスブック・ブログを活用してきました。

 2年間継続して行ってきて、地域の人に定着していきました。受講者がどんどん増え、住民同士のつながりの土壌ができていきました。参加・交流の学びの場の設定ができてきます。

 3年目、みんながどんどん元気になっていく様子を見て、第2章では、グループで地域課題を発見して、その解決に向けて取り組んでいきました。参加者は主体性を持ち、意欲的に事業の企画立案も一緒に行うようになってきます。そこで名前も「学びのカフェ」から「地域ジン學びのカフェ」へと変えていきます。

 ここで「地域ジン」という人たちが誕生します。共通の仲間意識を持って、新しいコミュニティづくりを目指していく集団の愛称です。各自が責任を持った活動を行うため、「地域ジン」名刺、そして、みんな同じTシャツを着ています。そして、うちわ、のぼり、地元のテーマソングも出来上がります。それから、毎月行う講座・講演の垂れ幕も全部「地域ジン」の人たちの手づくりによります。アイデンティティ、主体性、仲間意識に重きを置いて行ってきました。

 「学びのカフェ」で学んだ「地域ジン」が、今度はまちに向けて動き始めました。ミシュランならぬ、「見知らんガイドマップ」。ひなびたお好み焼き屋さんだったり駄菓子屋さんだったり釣具屋さんだったり、そういうお店をいっぱい紹介する。スタンプラリーも取り入れました。公民館で抽選を行ったのですが、200人が訪れました。これはまちのひなびたお店を復活するのにすごく役立ちました。

 それから第2章では、今度は地域課題への関心が高まってきました。地域の人は素人です。いきなり地域課題を解決しましょうと言って講座を開いても、みんな引いてしまいます。だから人と人のつながりをつくって、公民館に来る道筋をつくって、そして、たくさん来た時点で地域課題へ進むという、そういう仕組みで行ってきました。

 地域課題、今度は第2章では、地域デビュー入門、計画、実践、こういう講座を行ってきました。このあたりから男性の受講者がどんどん増えていきます。いわゆるPDCAサイクルというものが回るようになりました。

 第3章。今度はプロジェクトが誕生していきます。4年目。このプロジェクトは、まちを元気にすることにどんどん意欲的となった地域の「地域ジン」が、今度は公民館と共にさまざまなイベントを企画していきます。大きなイベント、「まちカフェ」イベントというのを行っていきました。

 「地域ジン」がまちづくりへとどんどん乗り出していく様子は、地域の子どもたちの心を動かしていきます。「私たちも地域ジンの一員」と、中学生がどんどん名乗り出てきました。自主的にプロジェクトに名乗り出てきます。まちの大人が変われば、子どもが必ず変わります。中学生を巻き込んで多世代交流ができ、まちの活性化にどんどん拍車が掛かってきました。公民館、学校、地域、これらが連携を取って動き始めました。公民館まつりでは、中学生も来て飛び入りで歌ったり踊ったりします。

 さらに学校と地域のつながりが多世代交流へつながっていきました。地域をまるごと巻き込み、この「まちカフェ」というイベントは、一つの自主事業なんですけど、300人が参加してきました。

 「学びのカフェ」物語がもたらしたもの、それは、「人が変わり、まちが変わったこと」です。公民館が核となり、地域課題を見つけ、その解決に向けた取り組みを行ったことで、地域のネットワークが生まれ、地域住民を主体とするまちづくりが行われました。このことで、これまで全く公民館に来ていなかった新規来館者がどんどん増え、それと同時に「地域ジン」という人たちが誕生し、物語の中で自分の役割を見つけ、まちを元気にすることに主体的に取り組みました。そして、その姿を見た中学生が今度は自ら「地域ジン」の仲間に加わるなど、地域の新しい担い手が育つ土壌となりました。

 一番大きなことは、ふるさとを愛する心がみんなの中に芽生えて、忘れかけていたまちの素晴らしさがよみがえったことです。まちの人々に「自信」と「誇り」を持っていただくことができました。

 物語は続いていきます。まだまだ動いている玖波のまちです。

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