2022年12月8日(木)

From LA

2019年4月4日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

牛の飼育を廃止すべき

 実はハンバーガーチェーンによる代替肉導入はこれが初めてではない。すでにホワイトキャッスル、レッドロビンなどのより規模の小さいバーガーチェーンでは全米の数百店舗で代替肉バーガーを提供しているし、全米第3位のチェーンであるカールス・ジュニアも今年中にビヨンド・ミートというインポッシブル社のライバル企業が作る代替肉バーガーを全米1000店舗で発売予定だ。

 ただし代替肉を使ったバーガーは牛肉を使ったものよりも平均で1ドル程度値段が高くなる。そのため各社は一気に導入するのではなく、小さめの市場でテストを行い顧客の動向を見て拡大する、という方針を採っている。つまり代替肉が商品として成立するのかどうか、という過渡期にあると言える。

 ではなぜ今大手チェーンがこぞって代替肉を導入しようとしているのか。もちろん上述のように肥満対策、環境対策、ベジタリアンの要望に応える、など理由は様々だ。しかし共通しているのは現在米国で広がる「牛の飼育を廃止すべき」という議論だ。

 マクドナルド、バーガーキングなどの大手は過去に何度も動物愛護団体からの訴訟を受けている。ハンバーガーに使うための牛肉を生産する段階で牛を過酷な環境で飼育している、残酷な殺し方をしている、などと糾弾されてきた。

 米国人というのは考え方に極端なところがあるが、この「牛を殺すことに反対」という思想は生活の様々な面に現れている。例えば一昔前は高級バッグ、靴、ソファ、車のシートと言えば皮革製だった。ところが最近では高級ブランドバッグも高級車のシートにも人工皮革が増えている。人工皮革の技術そのものが向上したこともあるが、「動物に優しい人工の素材」の方が消費者に受け入れられやすい、という判断なのだ。

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