From LA

2019年3月15日

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 ボーリング社を立ち上げ、トンネル内を車が自動的に移動するシステムで都市交通の渋滞緩和を目指す、テスラ社CEOのイーロン・マスク氏。しかしロサンゼルスで計画していた「UCLA近辺から空港をつなぐ」トンネル計画は、トンネルが走る地域の住民の反対運動もあり頓挫した。同様にシカゴでもトンネル計画があったものの、住民の反対にあっている。

 住民の不安は自宅の下をトンネルが走ることで地盤に変化が起きるのではないか、振動、騒音などの問題が出るのでは、という漠然としたものだ。ロサンゼルスの場合、地震の多い土地柄もあり、地下鉄計画に対しても住民が反対してなかなか進まないのが現状で、さすがのマスク氏も匙を投げた形だ。

(lucky-photographer/Gettyimages)

 ところがそんなトンネル計画を招致しよう、という都市が登場した。カジノとコンベンションの街、ラスベガスだ。ラスベガスはCESを始め大規模なコンベンションが開催されることで有名で、現在コンベンションセンターの拡張工事に着手している。

 しかし問題は現状でもイベントが大規模すぎて一つのコンベンションセンターでは収まらず、複数の場所で開催されている、という点だ。CESを例に挙げると最も南にあるのがマンダレイベイホテルのコンベンションセンターで、北にあるのがラスベガスコンベンションセンター。その間にベネチアンやサンズホテル、アリア、MGMなど様々な場所で基調演説や会見などが開かれている。

 参加者にとってはこれらの会場を移動するのは非常に面倒だ。MGMからコンベンションセンターにはモノレールが通っているが、CES開催中はモノレールに30分待ちの行列が出来る。参加者用のシャトルバスサービスもあるが、複数の会場をバスで移動するのは複雑だ。タクシーやウーバーなどを利用しても、中心部は大渋滞で時間がかかる。

 こうした不便さを解消するためにラスベガス市が白羽の矢を立てたのがマスク氏のトンネルシステム。ラスベガスの観光局がマスク氏のボーリング社に対し、人々がコンベンションセンター間を便利に行き来できるためのトンネル開通とその運営に対する委託契約を結ぶ、と発表した。もし実現すれば総長約1.5キロのトンネルが2021年1月には開通することになる。

 このトンネルは車を走らせるためのものではなく、自動運転のシャトルが小型の地下鉄のような形で人々を運ぶ。ラスベガス市では年間100万人の利用客を想定しており、プロジェクトの総工費は3500万から5500万ドルになる、と見込まれている。

 ラスベガスのコンベンション・ビジターを管轄する部署では「トンネルと移動手段そのものが新しいラスベガスのアトラクションになる」と計画に大きな期待を抱いている、という。ラスベガスでは一部のホテル間に無料のモノレールが走っているが、距離は短くモノレール駅がホテルのエントランスから遠い、などで利用客が多いとは言えない。

 例えばマンダレイベイホテルからラスベガスコンベンションセンターまで公共の乗り物で移動しようと思うと、まずマンダレイベイからエクスカリバーホテルまでをつなぐモノレールに乗り、エクスカリバーからMGMのモノレール駅まで歩き、そこからコンベンションセンターへ移動することになる。

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