日本でもウーバー・イーツのようなフードデリバリーが徐々に人気となっているが、こうしたビジネスの今後の発展を占う上で重要なのが自動運転の導入だ。米国ではすでに昨年から大手スーパー、ウォルマートが食料品のデリバリーに自動運転バンを実験的に導入し、今後も積極的に対象エリアを広げる予定があるという。
米国でこうした自動運転のフードデリバリーバンを開発する会社は自動車メーカーを中心に増加している。フォードはウォルマート、ドミノピザなどと自動運転によるデリバリーサービスに関する提携契約を結んでいる。GMは今年に入りサンフランシスコのフードデリバリーサービス、ドアダッシュと提携し、トヨタはePaletteによる貨物デリバリーサービスを開発中だ。
しかしこの分野には新興事業の参入も多い。Nuroという企業はアリゾナ州でスーパーマーケットチェーン、クローガーと提携して食品の自動運転デリバリーサービスに参入しているし、ウーバーも当然ながら同社の自動運転サービスを今後食品などのデリバリーに利用していくだろう。
そんな中で注目されているのがUdelvというサンフランシスコに本社を置く企業だ。同社は今年のCESで第二世代となるフードデリバリー・バン「ニュートン」を発表した。第一世代はサンフランシスコで昨年1200件以上のデリバリーを達成したが、ニュートンは中国Baiduがオープンソースとして開発した「アポロ3.5」という自動運転バンに特化したドライビング・プラットホームを採用、ウォルマートとの提携も新たに発表され、同社CEOダニエル・ローリー氏は「Udelvの使命は従来のデリバリーモデルを自動運転導入により全く新しいビジネスに置き換えることだ」と語り、今年中に複数のクライアントに100台のニュートンを届け、自動運転によるデリバリーサービスを全国に広げる予定を明らかにした。
Udelvに対しては日本の丸紅が戦略的投資パートナーとして参画しており、ビジネスのスケールアップの面で協力、今年は米国内の複数の州での導入に協力するが、いずれ日本を含む全世界での展開を視野に入れている、という。
ニュートンはフォードのトランジット・コネクト(小型デリバリーバン)のベースを使用しているが、デリバリーシステムに関わる部分はUdelv社が特許申請中の技術を用いている。最大で32件のデリバリーが一度にできるが、商品の大きさ、重さなどによりアレンジが可能だ。またデリバリー先では注文した人だけが品物を受け取れるアプリが使用される。