2022年12月8日(木)

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2019年4月4日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

96%の土地、87%の水、89%のメタンガスやCO2などを省くことができる

 また環境面から見ても、牛などの家畜の飼育には大量の飼料や水などの資源が必要な上に、家畜は大量のメタンガスを生み出す、という指摘がある。インポッシブル社では、大豆の根にあたる部分を代替肉の原料としているが、これを肉の代わりに使用することで「96%の土地、87%の水、89%のメタンガスや二酸化炭素などを省くことができる」としている。

 2050年には地球人口は90億人になると予想されており、来る食料不足問題に対応するためにも代替肉は今後必要不可欠なものになる、という主張だ。

 ただし代替肉がパーフェクトなのか、というとそうでもない。インポッシブル社によると、原料は大豆の根だが、そこに肉らしい風味をつけるために重要なのがヘムという物質。ヘムとはヘモグロビンの色素部分に見られる細胞だが、これこそが肉を肉らしい味にしている物質だ。

 ヘムは血のような色をした液体として、植物原料に混ぜられる。それにより肉らしい赤みや風味が生まれる。ところが昨年、インポッシブル社がヘム採取のためにラットを使用している、として動物愛護団体からの糾弾を受ける騒ぎもあった。現在では同社は大豆の根から抽出したヘムを遺伝子操作したイースト菌に移し替え、大量のヘムを生産している、と発表している。しかし遺伝子操作した作物、いわゆるGM作物の安全性は今も議論されており、この部分に疑問を持つ声もある。

 それでもインポッシブル、ビヨンド・ミートを始め、現在では多くの代替肉を生産する企業が存在する。「ラブ・メイド・ミート(工場で生産された肉)」という言い方も一般的になってきた。また植物由来の代替肉だけではなく、普通の肉を細胞培養して大量の肉を生産する、という試みも行われている。代替肉は将来の地球環境を左右する存在になるのかもしれない。

  
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