(4)女性尊重
任命された閣僚24人のうち2人が女性(社会相及び保健相)である点からも、新生リビアでは女性と若者を重視するとの解放後の国民評議会の約束が確実に守られていることが分かる。ジャリール議長によるイスラム法の尊重発言で、今後のリビアにおける女性の地位を懸念する声が高まったことに配慮した面もありそうだ。
アブドゥルラヒム・アル・キーブ暫定首相は閣僚名簿の発表に際して、「私は皆さんに、新政権が全てのリビア国民を代表するものであることを保証する」と胸を張った。だがキーブ暫定首相の言葉にも関わらず、発表翌日の11月23日には、早くも一部少数部族などが不満を表明しデモを行っている。
誰のための暫定政権か?
反カダフィ闘争の発端となった東部ベンガジでは、この日、ベルベル族やマガリバ族の市民が「よそ者の政府は駄目だ」と書かれた垂れ幕を掲げながら、自分たちの代表が新政府に入っていないことに強く抗議するデモを行っている。同じようなデモは、小規模ではあるものの、やはりベルベル族の居住するナフサ山岳地帯の町ジャドゥでも起きている。
何よりも暫定政府の今後の厳しさを示しているのが、暫定閣僚の発表されるまで財務・石油相を務めていたアリ・タルフーニ氏の記者会見での辛辣な論評である。首都トリポリでは11月24日、新閣僚たちの宣誓式が行われたが、タルフーニ氏は、その僅か数時間後、「今や庶民の声を聞く時であり、我々は民主的憲法運動を始める必要がある。しかし、我々が耳にする声は、『エリートの声』、『国民に選ばれていない国民評議会の声』、『外国から資金・武器を受け取り宣伝された人たちの声』である」と語り暫定政府の前途が決して容易ではないことを示唆している。
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