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2019年7月19日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

日本人並みの賃金

佐々木 聖子(ささき・しょうこ)氏 1985年4月に法務省に入り、2006年に東京入国管理局次長、12年に入国管理局総務課長、19年に入国管理局長、同年4月から出入国在留管理庁長官に就任(日本記者クラブ提供)。

 今回の在留制度とは直接関係ないが、外国人の労働者は日本人と比較して同一労働同一賃金になっていない職場があると指摘されている。このため、賃金面の不満が強く、突然、職場からいなくなるということが起きているという。

 長期間、安定的に日本で働いてもらうためには、企業経営者は「外国人労働者だから安く使える」と思うのでなく、「人手不足を穴埋めしてくれる貴重な戦力」ととらえて、日本人並みの待遇をすべきことを心掛けるべきだ。そうしなければ、いくら立派な制度を作っても、労働力として定着させることはできない。

 また、大都市と地方とで時間当たりの賃金格差が大きくなると、賃金の高い大都市ばかりに集まって、必要とされる地方に来なくなる恐れがある。農業の収穫時期などでは、外国人の労働力はなくてはならない戦力になりつつあり、地方にも一定程度、確実に来てもらえる手立てを考える必要がある。しかし、今のところ政府として特段の対策はないようで、新しい在留資格で働く外国人が大都市偏重になる可能性が残されている。

難しいアルバイトの実態把握

 外国人留学生の制限時間を超えたアルバイトをしている問題については「東京福祉大など学習実態のない教育機関が散見されるが、入管庁としてはきちんとした在留管理を行いたい。具体的には、一人の留学生がいくつものハローワークからアルバイトをしている報告があった場合は、厚生労働省と連携して調査できるようにして在留状況を細かく把握できるように力を入れていきたい」と、アルバイトの実態把握に努める考えを示した。

 国別留学生でこの数年で急増したのがベトナム人とネパール人だ。特にコンビニのレジでは最近はネパール人を多く見かけるようになった。ネパール人は以前は隣国のインドに出稼ぎに行っていたが、最近は留学生という名目で日本に出稼ぎに来るケースが増えている。日本人の人手が集まらないコンビニにとっては欠かせないレジ係になっている。

 留学生は1週間に28時間を超えてアルバイトをすることは禁止されているが、多くの学生は何件か掛け持ちでアルバイトを行い、28時間を超えたアルバイトをしている実態が報告されている。入管庁としては、ハローワークへの報告を基に現状をつかみたい考えだが、飲食業関係ではハローワークを経由しない口コミのアルバイトも多く行われている状況もあり、留学生の過剰アルバイトをどこまで食い止めることができるか課題が残る。

 また、雇用する側も掛け持ちアルバイトをしているのを認識していながら、ハローワークに通報すると人手を失うことになるため過剰アルバイトを黙認しているケースもあるようで、人手不足が深刻化する中で違法な留学生アルバイトをなくすのは容易ではない。

  
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