盛り上がるのはスタジアムだけじゃない
東京スタジアムに向かう前に調布駅前のファンゾーンに立ち寄った。笑顔のボランティアさんたちに温かく迎えられた。平日の昼過ぎ。開会式までかなりの時間があるというのに熱心なファンが集まっていた。ビールを片手に和気あいあい。外国からのお客様たちともすでに交流が始まっていた。調布のファンゾーンは、屋内会場とステージ上の大型ビジョン、さらに日没後は大迫力の壁面スクリーンによるパブリックビューイングが行われる。
ある男性ボランティアは「定年後に何をしようかと目標を失っていたところ、このボランティアのことを知った。昨今の日韓関係のこともあって、海外から来る人たちに本当の日本を知ってほしいという思いがあって応募した」と語り、「やりがいを感じるね」と嬉しそうな表情を浮かべていた。また、別の男性に声を掛けると「ボランティアは英語の得意な人が多いんだけど、おれは京都弁と博多弁が話せるんだ」とか、「こんにちは!って言うだけでお互いに気持ちがよくなる。みんないい思い出を作って帰ってほしいね」と話してくれた。
ステージではお笑い芸人が会場を盛り上げ、ラグビーアクティビティエリアではスクラムの押す力を測定できるマシーンやラインアウトのリフトアップを体験することができる。それをサポートしていたのは千葉県の高校のラグビー部員たちだった。また、パス回しのエリアにはトップリーグの選手たちの姿もあった。その他、地域の名産品などのテントが多数出店して賑わっていた。
後ろ髪を引かれるようにファンゾーンを後にして東京スタジアムに向かうと、ボランティアがそこかしこに真摯な対応と笑顔を向けて動いている。今回の取材は試合のみならず、周辺でも気持ちのいい雰囲気を味わうことができた。
筆者は約20年間のサラリーマン生活を経て一念発起。なんのバックボーンも持たないままライターになろうと志した。長い間、ラグビーワールドカップの取材は夢だった。憧れだった。一度はあの興奮を体感したいと思いつつ、この歳まで来てしまった。しかし、今回その夢が叶った。ゆえに「4年に一度じゃない。一生に一度だ」のキャッコピーに胸が震えたのだ。その思い、私も同じだから。
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