使えない上司・使えない部下

2019年9月28日

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 今回は、ヤマモトホールディングスの中核企業で、一般廃棄物収集運搬・産業廃棄物中間処理業の山本清掃(京都市、従業員数150人)執行管理室長の銭本護さんに、「小さな会社において使える人材」をテーマに取材を試みた。

 銭本さんは1987年にリクルート(旧 リクルートコスモス)に入社し、主に本社総務部・商法関連業務などに携わった。現在は、総務、法務、広報など管理部門の業務、社内報などの編集に関わる。

(Bitter/gettyimages)

小さな組織のわりに風通しの悪い会社

銭本氏

 小さな会社において「使える社員」の捉え方は、業種や業績、従業員数、社内外の状況により多少の違いがあると思います。たとえば、従業員が30人前後の場合は、個々がいくつもの職種を兼務する機会が多いでしょう。一例でいえば、経理の担当者が総務や人事、時に営業も担当するかもしれません。このようなオールラウンドプレーヤーは、おそらく社長や役員、管理職などから「使える」とみられていることが多いと思います。

 小さな会社は、複数の仕事がある程度できる人が増え、さらにそこからオールラウンドプレーヤーが一人でも多く生まれないと、組織が強くならないのです。会社の創業期、社長が営業、経理、総務などをはじめ、あらゆることをします。こういう社員を可能な限り、増やさないと、小さな会社は絶対に強くはならないのです。ある成長のステージまでは、オールラウンドプレーヤーがどうしても必要になります。

 これが、規模がやや大きくなると変わってきます。「中小企業の縦割り」のような問題が生じる場合があるのです。従業員でいえば、100∼300人ぐらいかと思います。たとえば、従業員数が150人規模の弊社では、ドライバー(運転手)や人事や総務、経理などの管理部門、営業などの部門といくつかの職種で成り立っています。別々に中途採用試験を実施し、内定者を各部署に配属後、それぞれの部署で仕事をしてもらいます。大企業のような定期の大規模な人事異動はありません。

 こういう状況が長く続くと、小さな組織のわりに風通しの悪い会社になることがあるのです。私が前職の頃から現在に至るまでに見てきた範囲でいえば、中小企業でもよく見られうるものです。

 会社・経営者の側からすると、個々の社員がその経験を生かし、いわば専門職のような立場で仕事に取り組むことを求めているのだろうと思います。私も当面はそれで構わないと思うのですが、社内外の状況をみて、どこかのタイミングで人事異動をして、ほかの職種に就くような試みは必要だと考えています。

 そのような配置転換をすると、本人の意識を高め、視野を広げることになっていきます。各部署や会社全体の硬直を防ぎ、活性化にもつながります。だからこそ、私たちは部署を超えての交流の場を設けたり、丁寧なつくりの社内報「きれい創造新聞」を毎月1回発行して、部署や個々の社員の垣根をできるだけ取り払うようにしています。最近は、他部署への異動も時々、試みているのです。ほかの小さな会社をみていると、人事異動はなかなか難しいようですね。社員や各部署、組織全体の抵抗があると聞くことがあります。

 大企業で大規模な人事異動が概ね滞りなく進むのは、少なくとも2つの理由があると思います。1つは、中小企業に比べると賃金が比較的高く、福利厚生は充実しています。社会的な信用を得ている会社が多いですから、様々な意味で恩恵を被ることができます。このようなことまで含めて考えると、配置転換を断ることのデメリットが考えられるのだろうと思います。たとえば、不本意な扱いを受けたりして、退職せざるを得なくなり、現在の生活水準を維持するのが難しくなることもありえます。配置転換に少々不満であったとしても、多くの人は受け入れるものなのでしょう。

 もう1つは、異動先の部署の上司になる方や同僚の社員のことも、事前にある程度わかるかと思います。それにともない、異動先での自分や近い将来のキャリアや処遇も見えてくるのでしょう。安心できるものが多少なりともあるのではないでしょうか。

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