今回は、昨年(2018年2月)に取材し、記事『ベンチャー企業の広報担当は、めちゃくちゃ使えない』にした男性(47歳)を再び紹介する。
男性は現在、IT企業(社員数300人)に記者・編集者のチーフ(管理職)として勤務する。20代前半から後半までは、大手の求人広告の編集制作にコピーライターとして関わった。20代後半から30代後半までは、中堅の広告会社で求人広告の制作ディレクターとして携わる。
これまでに取材をした会社は、大企業から中小・ベンチャー企業まで、2000社を超える。ベンチャー企業の「使えない広報担当者」について話をうかがった。本人の希望で、氏名は匿名とした。事例として取り上げた会社は、特定できうる可能性があり、内容を一部加工した。
広報で経験の浅い人がしゃしゃり出てくると、うまくいかない
僕が担当するウェブサイトでは、経理や財務、IR、広報、総務などの管理部門の女性を紹介するの。15年以上前から、年に5∼10人前後のペースで掲載している。美人で、仕事ができて、才媛タイプが多い。経理、財務などの女性が勤務する会社から、うちへ1人につき、12万円支払う。その一部が、僕とカメラマンやアートディレクターなどの報酬になる。
通算で100人以上を紹介してきたけど、ベンチャー(企業)の場合は、広報で30代半ばまでくらいの経験の浅い人がしゃしゃり出てくると、まずうまくいかない。半年前なんか、ひどかった。
まず、うちのカメラマンが、すごく美人な財務の女性を(ある公園で)撮影するわけ。僕らも、立ち会う。なぜか、広報がカメラマンに指示を出すんですよ。「もっと広い絵のほうがいい!」「アップは、ここじゃないほうがいいから…」「そこが、(カメラ)ポジションじゃ、まずいでしょう?」。ふつう、こんなことは言わないけどね。
ほぼすべてが、まっとうじゃない。カメラマンは40代前半のベテランだけど、一応、「はい」とうなずく。スポンサーだから。だけど、意味がわかんないから、無視して撮る。広報はスルーされているのがわからない。相変わらず、「ここで(撮影するのは)どう?」と言っていた。ドヤ顔で…(笑)。財務の女性は恥ずかしそうにしていた。どうも、広報は妙なプロ意識を発揮しようとしたみたい。(同僚である)財務の女性の前で、「(撮影の)現場を仕切れるのよ…」って。
なんとなく、かつてはR社に勤務していた感じの雰囲気。虚勢を張り、脈絡もなく、「KPI (Key Performance Indicators)は?」と聞いてくる。僕たちは「???」ですよ…(苦笑)。自分でも意味がわかってないんだろうけど。同世代にライバル意識を持ち、「負けない!」とがんばっちゃう。それが、妙にはねちゃっている感じ。このシリーズでの撮影は毎回30分ぐらいで終わるけど、一時間半かかった。「(時間が)押してきたから、急がないと…!」だって。僕らは「あんたのせいでしょう?」と言いたいけど、スポンサー様だから。
ある意味、気の毒ですよ。