繁忙期だけでなく通年仕事を提供できる
「監理団体」には公的なイメージがあるが、実際には営利目的の斡旋が常態化している。その監理団体の役目を自治体やJAなどが担えば、「監理費」という中間搾取は抑えられ、実習生の待遇改善が期待できる。
零細な農家などは、実習生などの受け入れを躊躇しがちだ。繁忙期には人手が足りなくても、閑散期の雇用が維持できないからである。そんな問題も、公的な機関が絡めば解決につながる。
JAえひめ南立間中央支所では、近隣の農業法人が正社員として採用したブータン人を一定期間、研修のため受け入れている。同支所・伊予吉田営農センター長の清家嗣雄氏が言う。
「JAが間に立てば、実習生にも通年で(農業関連の)仕事は見つかります。(JAの愛媛県組織である)中央会や県のイニシアティブに期待したい」
愛媛のブータン人たちは実習生の他にも、現地からの農業研修生の受け入れを県に提案している。ブータンから農林大臣が近く来日するのも、実現に向けて担当者らと話し合うためだ。「農業」を介して、愛媛とブータンがより深く結びつく日が来るかもしれない。
県や地元自治体、受け入れ企業に加え、人材を送り出す国の政府まで連携すれば、皆にとって「ウィン・ウィン」の仕組みが実現できる。その可能性を示しているのが、愛媛で就職したブータン人たちの姿なのだ。「愛媛モデル」がさらに進化し、全国に波及していくことを期待したい。
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