Washington Files

2020年4月27日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(iStock.com/flySnow/Purestock)

 マイク・エスパー米国防長官が、グローバル展開の従来の海軍構想に大胆にメスを入れる新計画の検討に入ったことが明らかになった。太平洋軍事プレゼンスの縮小も視野に入っており、場合によっては、これまでのわが国防衛体制の在り方についても見直しを迫られることにもなりかねない。

 米軍事専門紙「Defense News」は去る20日、「国防総省、米空母2隻削減を検討」の見出しを掲げた特報記事を掲載、この中でペンタゴン内局が、

 ①空母戦力を現在の11隻体制から9隻体制に縮小
 ②大型洋上戦闘艦は80~90隻程度とする
 ③数十隻からなる「無人および軽量級艦船」の新規投入

 などからなる戦力見直しを求めていると報じた。

 同記事によると、これらの内容は、エスパー長官が正式就任以来、取り組んできた国防総省全体を網羅する大がかりな「海軍戦力構造見直し review of Navy force structure」の一環をなすものであり、主な狙いは、海軍戦力投入の中核としての空母重視態勢見直しと同時に、有事の際に比較的容易に、満を持して投入できる「無人戦闘テクノロジー」をより重視していくことにあるという。

(bennymarty/gettyimages)

 「Defense News」はさらに以下のように伝えている:

  • ペンタゴン・スポークスマンはこの報道について、「正式決定に至らない省内報告についてのコメントはできない」としているが、ジェリー・ヘンドリックス退役海軍大佐は「これまで海軍は、中東およびアジア・太平洋における空母常駐体制を前提に15隻からなる打撃群を維持してきたが、2隻削減によって、海軍のグローバル・プレゼンスに恒常的変革をもたらし、今後の戦力展開の再考を余儀なくされることになる」と論評した。
  • 検討モデルによれば、空母打撃群は作戦海域への常時展開に代わり、「可能な時に、有事の必要に応じて当該海域に投入する」ことになり、新たな「9隻体制」の下では、6隻から7隻が常時投入体制を維持、1隻が「給油およびオーバーホール」そして残り1~2隻は「本格的補修」に入ることになる。
  • このほか「構造見直し」は、約90隻からなる巡洋艦、駆逐艦についても「今後、最低80隻は維持し続け、それも最高水準の艦船の保有」を求めている。沿岸展開用小型戦闘艦は現状の55隻に加え、今後、「次世代フリゲート艦」20隻のほか新たに35隻を発注、建造するなどとしている。

 また、こうした戦略転換に関連して、エスパー国防長官は去る2月9日、同紙との単独会見で次のように述べている:

 「米海軍は今後、全体で355隻あるいはそれ以上の体制をめざすが、そこに到達するには、従来の大型艦船依存から短期間に容易に調達できる機動性の高い小型艦船への移行も含め根本的に考えを改める必要がある。1隻あたりの乗員の少ない艦船数を思い切って増やすことによって、より強大、強靭な戦力の構築が可能になる」

 「今後の戦況シナリオを考えた場合、まず小型戦闘艦をすみやかに投入できる態勢を作ることが重要であり、次のステップとして、無人艦投入へと移行する。こうすることによって、2030年までには、わが海軍は355隻体制に到達することができるだろう」

 「空母の存在については、アメリカン・パワー、アメリカの威信を示すものであり、極めて大切だが、将来的に、ゼロ隻か12隻かといった議論も含め、私自身、答えを持っていない。しかし、日本が取り組んでいるような、軽量級艦船での発着が可能なE-35Bモデル艦載機などは参考になる」

 「本省のコスト・アセスメント・計画評価局(CAPE)はこうした考えを実行に移すために現在、海軍省とも一連の戦時シミュレーションと演習を実施しており、最終的には今年夏には、明確な方針が確定することになるだろう」

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