Washington Files

2020年4月20日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(Page Light Studios/gettyimages)

 コロナ危機初期対応の遅れに対する批判が高まる中、トランプ大統領はその打消しに躍起となっている。だが、自らがこれまで繰り返してきた脅威についての軽視発言、楽観論、虚言、事実誤認そして言い逃れの証拠は覆うべくもない。以下にその具体例を改めて時系列的にリストアップしてみた(米主要各紙および公共放送NPRの報道を参考)。

1月22日(米国での感染拡大について)

「われわれはすべてをコントロール下に置いている。感染者は中国からの帰国者たった1人だけだ。大丈夫だ、問題ない」

1月25日(ツイート発信)

「中国はコロナウイル封じ込めに真剣に取り組んでいる。われわれはその努力と透明性を大いに評価している。すべてうまくいくだろう。習近平国家主席に感謝したい」

1月30日

「わが国にはコロナウイルス感染者はたった5人だけであり、それも快方に向かっている。我々にとってハッピー・エンディングを迎えることになる」

(注:同日、世界保健機関(WHO)が「国際的公衆衛生非常事態」を発信)

2月7日

「何事もかんたんにはいかないが、習近平国家主席は(撲滅に)成功するだろう。とくに暖かい気候になれば、ウイルスも弱まり、やがて消滅してしまうことになる。彼は陣頭指揮をとり、非常に成功裏にコロナ封じ込め作戦に乗り出している。われわれは対中国支援に向け、緊密に協調している」

(注:8日、在中国米大使館が「武漢市で初の米国人感染死亡を確認」を公表)

2月10日

「春までには騒ぎは収まっている。4月にはウイルスは消滅している。わが方の対策はすべて良い方向にある」

(注:米疫病管理予防センター(CDC)はこの時点で「危機収拾は春以降、今年以降まで続く」と警告している)

2月14日

「現在、わが国の感染者はごく少数にとどまっている・・12人かそこらだ。かれらの多くが快方に向かっており、何人かはすでに回復している。我々は非常に良い状況にある」

2月19日

「すべてうまく行っている。4月になり、暖かくなれば、この種のウイルスはネガティブな影響を受ける。とにかく、コトは首尾よく進むだろう」

2月24日

「コロナウイルスはアメリカでは大いにコントロールできている。株価も非常に良い状況になってきた」

2月25日

「みんなコロナウイルスのことを気にしているだろうが、わが国ではとてもよくコントロールされている。感染者は少数に過ぎず、快方に向かっている……われわれの取り組みについて言えば、大いに立派な仕事をしている」

(注:同日、CDCが「カリフォルニア州で初の国内感染者を確認、米国内感染拡大の危険」に言及)

2月26日

「感染者は15人だが、減少しつつあり、数日中に、ゼロになるだろう。われわれが立派な仕事をしている証拠だ。死亡リスクもインフルエンザより少ない」

2月28日

「対策はうまく行っていると思う。われわれは世界の特定地域からの入国制限措置をとった。速やかな行動に出た。結果として正しい措置だった。現在の感染者も15人に過ぎず快方に向かっている。最悪事態にも備えているが、我々は非常に幸運だ」

(注:ワシントン州知事が初の感染死亡者が出たことを発表、同時に「州非常事態」宣言)

2月28日

「コロナウイルスは消滅しつつある。ある日、ミラクルのように消えていく」

(注:3月1日には、フロリダ州はじめケンタッキー、ニューヨーク、メリーランド、ユタ、オレゴン各州でも「非常事態」宣言)

3月5日

「世界中で感染者約10万人、死者3280人が出ているが、わが国はすみやかに国境を閉鎖したため、感染者はたった129人、死者11人だけだ」

3月6日

「昨日、テレビ中継の市民集会で言ったことだが、みんな平静を保ちなさい。ウイルスは消えていく」

3月9日

「フェイク・メディアとそのパートナーである民主党が、実際以上に危機をあおりたてようと躍起になっている。わが医務官も言っている通り、一般市民へのリスクは低い」

(注:WHOが11日「コロナウイルス・パンデミック」を宣言)

3月10日

「これは(コロナウイルス危機)予期できないものだった。しかし、わが方は準備万端、立派な仕事をしている。やがて消え去っていく。落ち着いていなさい」

3月11日

「コロナ感染は限られた地域のみであり、大多数の米国民にとってリスクは非常に低い」

3月12日

「私がそして政府が中国側と取り組んできた結果、現段階でのわが国での死者は32人だけだ。他の諸国から伝えられる死者の数字と比べれば、わが国の場合は驚くほど少ない」

3月16日(記者会見で全米向けに)

「若者そして健常者も含め全国民に勧告したい。外出を控え、テレワーク、テレ学習に切り替えるように。外での飲食も避け、10人以上の集会も自粛してもらいたい」

(大統領はコントロールしているといいながら、実際は感染者は拡大していることをどう思うか」との質問に対し)

「ウイルスについて言うならば、世界のどの国もコントロールできていない。自分が言ってきたのは、わが方の対応ぶりについてだ。ウイルスについてではない」

3月24日

「ウイルス感染で多くの人が死亡するかもしれないが、わが国を(ロックダウンによって)大規模不況に追い込んだ場合、それ以上の命が奪われることになる。来るべきイースター復活祭(4月12日)は自分にとってとても大切な日であり、それまでに外出禁止措置をやめ、経済活動を再開させたい」

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