Wedge REPORT

2020年5月18日

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プロ野球の開幕が人々の〝自粛の防波堤〟を崩壊させてしまうことにも

 今季に限って東と西のブロックに分けてシーズン公式戦を組み、東西それぞれの地方で集中的に試合を開催するとのプランも一部報道で浮上しているとされていたが、すぐに立ち消えとなった。チームによっては本拠地を使えずに宿舎での長期滞在を強いられ、不平等を生んでしまう致命的な問題点があることで現実性には乏しいからだ。何より、このプランが仮に施行されるとしても宿舎滞在を強いられるチームは県境またぎで大人数の移動をすることになる。だから、すべての解決にはどうしてもつながらない。

 そして恥ずかしながら我々マスコミにも〝感染源〟となるハイリスクがある。開幕すれば各試合の球場に大挙して新聞、テレビ、あるいは雑誌、Webなどに属する記者やカメラマン、テレビクルーらが押し寄せるのは必至だ。ビジターチームの番記者や取材関係者も場合によっては当然県外から公共交通機関を利用し、選手らと同じように感染リスクが非常に高い移動条件の中で大勢来場する。

 それでも、もし各球団がコロナ禍以前のようなスタイルでマスコミに門戸を広げて球場への出入りを制限なく許可し、ソーシャルディスタンスを確保しにくく〝3密〟すべてに引っかかりやすい「囲み取材」をOKするとしたら、やはり不安は拭い去れない。球界内からも「マスコミからの取材に関して何も対策を講じなければ十中八九で感染者、あるいはクラスターを発生させる第2波誘発の要因につながってしまう」との警鐘が数多く鳴らされている。

 「プロ野球の開幕が許されるならば大人数のチーム遠征もOKなわけだし、それよりも少人数の短い日程の旅行は自粛しなくていいはず。観光地で〝密〟を避けながら行動すれば全然問題ない」

 このように胸を張りながら都合のいい解釈をする人も実際にたくさんいる。ただ、こうなるとプロ野球の開幕が人々の〝自粛の防波堤〟を崩壊させてしまうことにもつながりかねないだろう。プロ野球界はさまざまな開幕への〝矛盾〟を解決しなければ、たとえ「6・19」を決めても厳しい風当たりは避けられないかもしれない。

  
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