2時間に及ぶ式典
卒業式では学部や大学院ごとに各学部長や大学院長が壇上でドリュー・ファウスト学長に口頭で卒業を認めるお願いをして、ファウスト学長がそれを認めてゆくという儀式が繰り返される形で行われる。それぞれの学部・大学院が紹介されるごとに、ガウン、学帽姿の卒業生が歓声をあげながら起立して卒業を喜ぶ。中でもビジネススクールやケネディスクールの学生はひときわ元気だ。ケネディスクールの学生は小さな地球儀を手に列席していた。
途中、ハーバードの学生らによる楽器演奏などが行われ、来賓のあいさつなども含めると式典は約2時間に及ぶ。待ち時間も含めると朝から4時間ぐらいかかる大仕事だ。式が終わりごろになると会場の雰囲気もリラックスし、チケットを持たなくても敷地内に入ることができるようになり、私も短い間だったが卒業式の雰囲気を味わうことができた。
大学院生は午後、それぞれスクールでもう一度学位授与の式典を行うので、まさに一日がかりのイベントだ。毎年、著名人がスピーチに立つが、今年は大学院出身のCNNの著名なキャスターが最近の世界情勢を交えながら社会や家族の絆の重要性を説いていたのが印象的だった。地域社会の注目度も高く、翌日の地元新聞のボストン・グローブ紙もハーバードの卒業式を写真入りで大きく紹介していた。
さらなる高みを目指す「旅立ち」
会場で感じたのはアメリカの大学の卒業式というのは日本のような修了を意味するものではなく、いみじくも「Commencement」(旅立ち)という単語を使うように実社会やさらなる高等教育機関への「旅立ち」という雰囲気が強い。知り合いの日本人の大学院生に卒業の感想を聞いてみたが、「これからインターンシップに参加して、あらたな就職先を決める」、「今の所属先にいったんは戻るが、長くいるつもりはないからいろいろ考える」などと話す人が多く、現状に満足せず、前向きに自分の可能性を追い求める姿が印象的だった。学生たちの笑顔を見ながら、今でここから出発する人が近い将来の各界各層で世界を支える人材になるんだなあという思いを強くした。
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