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2020年9月25日

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マット・マグラス環境担当編集委員

気候変動が米カリフォルニア州の山火事の規模や被害を拡大していることが、最新の分析で明らかになった。

この分析を発表した研究チームは、地球温暖化が山火事の条件を加速させる「明白かつ広範囲にわたる」役割を果たしていると指摘。カリフォルニア州は現在、人類による気候変動が始まって以来、最も山火事のリスクが高まっているという。

一方、ドナルド・トランプ米大統領が山火事の主な原因と主張している土地管理の問題では、この山火事の規模は説明できないとしている。

カリフォルニアでは8月から、過去18年で最も深刻な山火事が続いている。これまでに30人以上が亡くなり、数千人が非難した。

山火事の原因をめぐっては、ギャヴィン・ニューサム州知事は気候変動が原因だと指摘。一方でトランプ大統領はこの主張を一蹴しており、政治的な争いに発展している。

今回発表された調査では、温暖化が山火事の発生に大きな役割を果たしていることが示唆された。

この調査チームは今年初め、オーストラリアで発生した大規模な山火事についても原因の分析を行っていた。

オーストラリアでの調査では、気温の上昇、湿度の低下、降雨量の低下、強風といった条件が、山火事リスクを高めると説明。こうした条件がそろやすくなり、深刻な火災が増えている背景に気候変動があると指摘した。

アメリカに関する調査では、2013年以降に発表された100件以上の論文を分析した。その結果、気候の自然な変化に温暖化による高温・乾燥化した状態が重なると、激しい山火事が起こることが示された。

この調査を主導した英イーストアングリア大学のマシュー・ジョーンズ博士は、「現在起こっている傾向や、山火事の規模、それが過去40年間で8~10倍に拡大ていること、こうした傾向は気候変動で加速している」と述べた。

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ジョーンズ博士はBBCニュースの取材で、「気候変動によって、どの州でも森林が頻繁に高温乾燥状態になっている」、「それが、私たちがいま目にする山火事の規模と被害につながっている」と話した。

世界では1979~2019年の40年間で、山火事になりやすい条件がそろう日は平均8日増加した。しかしカリフォルニア州に限ると、きわめて山火事になりやすい条件の秋の日は倍増しているという。

調査では、「気候変動がアメリカ西部に、以前より高温かつ乾燥した天候をもたらしている。そのためこの地域の山火事リスクは人類が世界の気候を人為的に変え始める以前と比べて、格段に増している」と結論付けている。

一方で、アメリカにおける山火事管理の慣行が、火災の燃料を作り出してしまっているとも指摘している。

消防当局は通常、山火事発生時に燃える材料となるものを減らすため、意図的に一部地域を焼き払って管理する。しかし気温が高くなった結果、この野焼きの慣行が失敗してしまっているという。

「野焼きには、火勢が抑制できる状態が必要だ。気温が高すぎず、乾燥しすぎていない時にしか行えない」と、調査に参加したイギリス気象庁のリチャード・ベッツ教授は説明する。

「しかし、年間を通じてほとんど常に高温で乾燥した状態が続くとなれば、野焼きはできない。すると状況はますます悪化し、土地の管理がもっと難しくなる」

このほかにも、カリフォルニアでは住宅地が森林地帯に食い込んでおり、山火事の際に住宅が被害に遭うリスクが高くなっていることも指摘された。

1940~2010年の70年間に、アメリカ西部で山火事の危険がある地域に建てられた住宅の数は約100倍に増えたという。

「これは洪水の氾濫原に家を建てているようなものだ。古くなりすぎた過去の統計に沿って、わざわざ有害な場所を選んでいる」と、ベッツ教授は指摘する。

「洪水や山火事など気候変動が影響することについて、過去の事例はもはや、将来への参考にならない」

ジョーンズ博士によると、調査チームは今後も山火事の条件がそろう機会は増え続け、山火事そのものも悪化していくと考えているという。

「山火事につながる天候はこれからどんどん増えていく。また、そうした気候はさらに深刻化し、広範囲かつ劇的になっていく」

「気温上昇の度合いをいかに制限できるかどうか。それが、山火事につながる危険な天候の頻度を今後下げられるかどうかにとって、根本的な課題だ」

(英語記事 California wildfire trend 'driven by climate'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54290558

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