2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年7月31日

波紋を呼んだ丹羽発言だが…

 丹羽宇一郎駐中国大使は6月7日付の英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、石原知事の尖閣購入計画について「実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる」と反対を明言した。

 外務省は「政府の立場と異なる。気を付けてほしい」と注意し、丹羽氏は謝罪した。だが、丹羽氏の発言は外務省のチャイナ・スクールの間ではほぼ共通した意見だったようだ。

 外務官僚は民主党の「政治主導」と「外交音痴ぶり」に根強い不信感を持つ。今回の国有化案についても「反中世論に迎合して国有化に踏み出せば、日中関係の不安定化は避けられない」との懸念を抱く人が多い。

借り上げ方式がベスト

 2002年以来、尖閣5島のうち4島は国が地権者に賃貸料を払って借り上げ、管理する方法をとってきた。

 国有化表明後の今も外務官僚、特にチャイナ・スクールの間では「借り上げ方式が最もよい方法だ」との考えが優勢だ。

 現状を変えて日中間に波風を立てるより、現状を維持すればよいとの考え方だ。この点は中国外務省側も同じだ。

 中国大使館の楊宇報道官は先の定例会見で「釣魚島(尖閣)は中国固有の領土であり、いかなる売買にも反対する」と述べ、都の購入にも国有化にも反対する姿勢を示した。国が借り上げを続ければ、売買は生じない。


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