2023年2月8日(水)

食の安全 常識・非常識

2012年8月8日

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松永和紀 (まつなが・わき)

科学ジャーナリスト

1963年生まれ。89年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち、フリーの科学ジャーナリストに。主な著書は『踊る「食の安全」 農薬から見える日本の食卓』(家の光協会)、『食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない』(日本評論社)、『効かない健康食品 危ない天然・自然』(光文社新書)など。『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(同)で科学ジャーナリスト賞受賞。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)。(記事の内容は、所属する組織の見解を示すものではなく、ジャーナリスト個人としての意見に基づきます)

 なんとも紛らわしいことですが、これらの「いわゆる健康食品」は、国が有効性や安全性を確認していません。あくまでも企業の責任で売られるもの。有効性を表示したり宣伝したりしてはいけないので、「食べた人が、勝手に効くと主張している。それを紹介します」という体裁で、売られているのです。

 個人の体験談や感想は、その人には当てはまっても、ほかの人に当てはまるとは限りません。「効く」と思い込んでいれば、薬効がなくても効いてしまう「プラセボ効果」が出ている場合もあります。それに、その人がウソを言っていても、だれも確認できないのです。実際に、「架空の体験だった」などとして企業が法的責任を問われた事例もあります。

 こうした健康食品に比べれば、トクホは国が保証しているのですから、はるかにマシ。この点が、まずは押さえておくべきポイントです。

表示許可審査手続きの流れ
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 トクホの安全性については、食品安全委員会が審査しています。さらに、安全性と有効性について消費者委員会が審査し、どのような表示を認めるかについても決定し、消費者庁長官が許可する、という流れです。

 企業は、許可された製品にトクホマークを付けて販売できますが、効果を自由に表示宣伝できるわけではありません。トクホとして認可された時に表示内容も決められ、その文言の範疇しかほぼ、使えません。また、いわゆる健康食品のような体験談、個人の感想も、宣伝に用いてはいけません。消費者庁が、実に細かな企業向けQ&Aを出しており、企業は非常に厳しい制約を受けています。

効果はどの程度?

 では、トクホはどの程度の効果があるのでしょうか? 製品によって大きな差があるのでしょうか?

トクホとして認められる主な効果
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 現状、トクホとして認められる効果は、主に表のようなものです。

 トクホの有効性に関する審査は、「個別品目の審査内容が許可申請を行っている事業者の権利または利益を侵害するおそれがあるため」という理由で概ね非公開。じつは、申請企業も書類を提出した後は、この審議には出席できない、という徹底ぶりです。

 企業は、有効性をヒトで確認する試験や、作用経路、体内での代謝の動態を調べる動物試験などを行い、しかるべき学術誌等に論文として発表し、提出して審査を受けます。当然、安全性についても同様に、かなりの研究が求められます。

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