2024年12月21日(土)

食の安全 常識・非常識

2012年8月8日

 「キリンメッツコーラ」が、相変わらずの人気だそうです。特定保健用食品(トクホ)として初めてのコーラ。「食事の際に脂肪の吸収を抑える」として4月に発売され、「あしたのジョー」の矢吹丈が、ハンバーガーやピザなどの脂っこい食事をもりもり食べながら飲むCMが話題となりました。

 売り出したキリンビバレッジは、あっという間に年間販売目標100万ケースを売り切り、7月初めに年間目標を当初の6倍、600万ケースに上方修正すると発表しました。最近、売上高が下がっていたトクホ市場ですが、メッツコーラに牽引され、再度注目を集め始めています。

 一方で、サントリーが販売しているトクホ、「黒烏龍茶」は6月下旬、「消費者庁が、CMに改善要望」とニュースになりました。マンガ「笑ゥせぇるすまん」の喪黒福造が登場して「脂肪にドーン」と叫ぶCMや吊り広告。印象に残っている人も多いでしょう。これが問題となったのです。

 大手飲料企業2社の光と陰。ジョーはよくて喪黒福造はダメなのか? メッツコーラは効くけれど、黒烏龍茶は効かないの?

 いえいえ、そんな話ではありません。最近のトクホをめぐる動きはかなり複雑です。2回にわけて解説します。

有効性を国が確認

 まずは、トクホがどんなものか、説明しましょう。

見覚えのある方も多いはずの「トクホマーク」

 トクホは、国が製品として有効性(効果)や安全性を評価し承認している食品で、これまでに約1000品が、個別に審査を受けて認可されています。これらは、トクホマークを付けて販売され、原則として国が認めた表現で有効性を表示したり、宣伝したりすることができます。たとえば、「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかにする」などの文言です。

 国は、このトクホのほか、ビタミンやミネラルを一定量含む「栄養機能食品」にも、機能を表示することを認めています。しかし、この2種類と病人や乳児を対象とした「特別用途食品」以外の食品は、法的には普通の食品となんら変わりがなく、効果を表示したり宣伝したりすることは法律で禁じられています。

健康食品との違いは?

 深夜のテレビショッピングで売られていたり、新聞、週刊誌の広告欄にあふれる健康食品は、ほとんどの場合、トクホでも栄養機能食品でもありません。よく見ると、効果は明確には示されておらず、利用している人の体験談が紹介されています。画面や広告の片隅に小さく「個人の感想であり、商品の効能を示すものではありません」などの字が入っています。


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