2023年1月30日(月)

食の安全 常識・非常識

2012年8月8日

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松永和紀 (まつなが・わき)

科学ジャーナリスト

1963年生まれ。89年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち、フリーの科学ジャーナリストに。主な著書は『踊る「食の安全」 農薬から見える日本の食卓』(家の光協会)、『食の安全と環境 「気分のエコ」にはだまされない』(日本評論社)、『効かない健康食品 危ない天然・自然』(光文社新書)など。『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』(同)で科学ジャーナリスト賞受賞。2021年7月より内閣府食品安全委員会委員(非常勤、リスクコミュニケーション担当)。(記事の内容は、所属する組織の見解を示すものではなく、ジャーナリスト個人としての意見に基づきます)

 トクホ製品をよく見ると、必ず「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」と表示されています。健康を考えれば、これが一番大事なのです。でも、食生活をいきなり変えるのは大変だから、トクホも少し手助けに。そして、ゆくゆくは食生活の改善を……。そんな利用が求められています。

 繰り返しますが、いわゆる健康食品よりは、国がしっかりと検証してくれている、という点ではるかにマシ。でも、劇的な効果、医薬品的効果などまったく期待できない。それが、トクホなのです。

 では、その効果は、企業によって、製品によって大きく違うのか?

 前述の通り、資料が完全に公開されているわけではないので判断が難しいのですが、各社のウェブサイトなどでの宣伝や情報発信など見る限り、大差ない、というのが私の考え。例えば、メッツコーラのウェブサイトと黒烏龍茶のウェブサイト、それぞれ効果を示すグラフが公開されています。比較してみてください。

 ならば、なぜメッツコーラはもてはやされ、サントリーは消費者庁から注意されたのか? これは、製品の効果や安全性とはまったく異なる、「広告表現」をめぐる問題です。そして、この点が、私の一番気がかりなこと。有効性や安全性、さらに表示を審議する消費者委員会の動きが最近、おかしいのです。一部の目立つ企業をターゲットにして“いじめ”にかかっているようにも、私には見えます。

 長くなりました。後篇で、消費者委員会の妙な動きについて説明します。


<参考文献>
・消費者庁・健康食品の表示制度の概要
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin616_01.pdf
・消費者庁・食品表示のページ
http://www.caa.go.jp/foods/index4.html#m02
・公益財団法人・日本健康・栄養食品協会
http://www.jhnfa.org
・消費者委員会
http://www.cao.go.jp/consumer/index.html
・国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報
https://hfnet.nih.go.jp
・サントリー黒烏龍茶
http://www.suntory.co.jp/softdrink/kuro-oolong/
・キリンビバレッジメッツコーラ
http://www.beverage.co.jp/mets/cola/

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