政策(policy)を巡る対立の為に解任されたとの説明は、最も考えにくい。この説を唱える者は、李は金正恩の大胆な改革路線に反対した為に解任されたとする。しかし、金正恩が、ミッキー・マウスを好むからと言って、この独裁者が、西洋文化を受け入れ、民主主義と市場原理を受け入れる前兆とまでは言えない、と論じています。
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金一族は、金正日が決めた軍首脳人事に満足していなかった可能性があります。金正日死去の前後より、軍古参幹部の呉克烈を破格に優遇する姿勢を見せていたのも、その一つの兆候であったと言えるでしょう。全ては、金正日の死前後から、その妹婿である張成沢によって敷かれた路線の上の出来事のようにも思われます。したがって、李解任も、周到に仕組まれたものと考えられます。
クリングナーは、李解任が政策論争とは無関係としていますが、即断することはできません。金正恩が長期的に政権を維持したいと考えれば、経済の改善は不可欠であり、そのためには、軍の経済的権益を抑え込むことが必要だからです。
張成沢は、かつて改革開放路線を唱え、政権内の強硬派の反対で失脚したこともあり、今回は強硬派の勢力を排除して現実路線を取ろうとしているのではないか、という想像も成り立ちます。
今回の政変が、政権の強化につながるのか、不安定化に向かうのか、確たることは言えません。しかし、いかなるシナリオであっても、なすべきことは、日米韓が協力して防衛体制を固めることであり、対北朝鮮政策の根幹はこれ以外にないと言っても過言ではないでしょう。
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