2022年12月6日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月19日

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 これまで中国は400弾頭くらいを保有しているとされてきましたが、その根拠は薄弱です。論説でも触れられているカーバー教授の指導の下、ジョージタウンの大学院生が中国はその数倍の弾頭を保有している可能性がある、と指摘したことがあります。ロシアの研究者も中国の核戦力はもっと規模が大きいと推定しています。

 最近人民解放軍の第2砲兵から機密文書が漏洩し、中国は最小限抑止を少数の核兵器で行うという方針であるということが明らかになったということですが、ウオーツェルが言うように、これは偽情報かも知れず、それをもとに判断することは出来ないというのは当然でしょう。

 ウオーツェルは、米中戦略対話を通じて中国の核戦力の規模を明確化することを提案していますが、もし中国が自国の核戦力を弱く見せようとしているのであれば、対話で中国が核戦力の規模を明らかにすることは無いでしょう。

 確かに、中国に核軍縮交渉を持ちかけるのは一案ではありますが、米との関係で不利な現状を固定化することを中国が受け入れるとは思えず、対米パリティの達成後、またはそれを達成する手段としてしか軍縮交渉に出てこないであろうと思われます。

 したがって本件については、情報の収集に努めるとともに、中国の核戦力に対する希望的観測は排除して、将来、「戦略的驚き」に直面しないように備えていくしかありません。

 なお、新START条約における米ロの配備許容弾頭数は、それぞれ1550発です。配備されていない弾頭については、制限はありません。中国の核兵器はずっと増強されてきているので、米ロの水準に近づいてくるのに、そんなに時間はかからない可能性が高いと思われます。

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