2022年12月8日(木)

WEDGE REPORT

2021年3月30日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 米国はこうした不法行為によって制裁の効果が失われ、輸出された石油製品などが核、ミサイル開発に転用されていることに懸念、いら立ちを強めている。米国内の強硬論者の間では中国も制裁対象に含めるべきだという議論が台頭している。

 日米首脳会談で、バイデン大統領が日本に対して、どのような具体的な要請をしてくるか明らかではない。

 制裁には瀬取りの船舶に対する拿捕、臨検などが盛り込まれているため、この実施を強く求めてくることも予想されるが、実際に日本がそうした強硬手段をとれば、中国の強い反発は必至で、日中関係は再び悪化する。

 加えて、日本のどの機関が担うのかという問題もある。海上保安庁だけでは人員、装備の面から難しい可能性もあり、不測の事態が起きた場合、対応しきれない恐れも生じる。

 菅首相はバイデン大統領にとって、就任後はじめて迎える外国首脳であり、3月のブリンケン国務長官、オースティン国防長官の初外遊先は日本であったことから、日本政府は一連の米国の対応を「日本重視」と歓迎している。

 バイデン大統領の就任直後の1月に行われた菅首相との初めての電話協議の際、大統領自ら、日米安保条約が尖閣諸島にも適用されるとの言明、日本側から歓迎された。

 それらの〝見返り〟の形で、首脳会談の場で、中国への圧力への協力を要請されるたなら、日本としては言葉を濁してあいまいな態度をとることはできない。菅首相はいまから、答えを用意しておく必要があるだろう。

米単独では対抗できず?

 1月のバイデン大統領の就任演説、2月に国務省で行った演説をみると、外交政策において、中国への強い警戒感を念頭に日韓両国など同盟国との関係を強化しようとしているのは明らかだ。

 しかし日韓両国と同様に重要な存在として欧州がある。トランプ政権時代に極度に悪化した関係の改善を急ぐことは、対ロシア政策を進めるうえでも急務だ。

 ブリンケン国務長官が日本からの帰途、アラスカで中国の楊潔篪政治局委員、王毅国務委員兼外相と会談した後、ブリュッセルに向かいNATO(北大西洋条約機構)との協議に臨んだことを考えれば明らかだろう。

 加えて猛威を振るっているコロナ問題への対応がある。経済立て直しなど内政上の重要課題が目白押しであるため、米国が北朝鮮問題だけに力を注ぐことは非現実的だ。同盟国の日本、韓国に、より重要な役割を果たしてほしいと考えるの当然だろう。

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