WEDGE REPORT

2021年3月3日

»著者プロフィール
閉じる

樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 アメリカは、尖閣諸島を「日本の主権が及ぶ領土」と認めるのか。国防総省(ペンタゴン)の報道官は2月、主権問題で「日本を支持する」と明言した。米国の従来方針からの転換と受け止めらたが、直後に、「誤りだった」と軌道修正した。

 言葉通り単なるミスなのか。

 発足から1カ月余り、予想に反して中国に強い姿勢で臨んでいるバイデン政権が、尖閣の領有問題をめぐって日本支持への転換を考慮し、中国をけん制、反応を探ったのではないかとの憶測もなされている。

カービー報道官(AP/AFLO)

中国海警の侵犯非難

 2月23日、米国防総省ジョン・カービー報道官の定例記者会見で、中国海警の船舶が尖閣周辺で日本領海への侵犯を繰り返し、漁船に接近したことへの質問が出た。

 報道官は、「中国は国際的なルール無視を続けている。われわれは尖閣について国際社会とともに見守っており、尖閣の主権については日本を明確に支持する」と言明、尖閣は主権が及ぶ日本の領土との認識を示した。

「特定の立場とらず」が従来見解

 アメリカ政府はこれまで、尖閣を日本の施政権が及ぶ範囲と認め、日本への防衛義務を定めた日米安保条約第5条が適用されるとの立場をとってきた。

 しかし、日本の主権が及ぶ日本の領土かどうかについては、「特定の立場をとらない」との姿勢を貫いてきた。

 こういう経緯があるため、23日のカービー報道官の発言は、大きな政策転換とみられた。しかし、国防総省は、その直後にウェブサイトで公表した速記録の末尾に、「尖閣の主権について、米国の政策に変更はない」と断り書きの注釈を付した。速記録に注釈をつけるなどは極めて異例であるため、この経緯はア日本のメディアでも報じられた。

 カービー報道官はこれに続く2月26日の会見で、23日の発言について、「私のミスで混乱を引き起こした。お詫びしたい」と陳謝、「米国の従来の政策に変更はない」と、重ねて公式見解を繰り返した。

 1月の日米首脳、外相、防衛相による電話協議に言及したうえで、尖閣を含む日本の防衛に対する米国のコミットメントは不動と強調した。

関連記事

新着記事

»もっと見る