2024年4月20日(土)

WEDGE REPORT

2021年3月30日

 アメリカの対話呼びかけに対し北朝鮮は弾道ミサイルの発射実験で応え、朝鮮半島情勢は再び緊迫化の気配を見せ始めた。

 バイデン大統領は強く非難、この問題は、来月に予定されている日米首脳会談の主要な議題に浮上してきた。

(Gerasimov174/gettyimages)

 現在、バイデン政権の北朝鮮政策の見直しが大詰めを迎えており、そのポイントは制裁の実効性確保と、そのための同盟国との協力拡大といわれ、首脳会談でアメリカは、制裁に非協力的な中国などに対する圧力強化を日本に求めてくる可能性が指摘されている。日本は中国に強い態度をとることができるのか。アメリカとの狭間で苦しい状況に追い込まれる恐れもある。

石油禁輸など数度にわたる制裁

 北朝鮮に対しては、これまで核実験や弾道ミサイル発射が強行されるたびに日米はじめ各国がそれぞれ独自に、または国連決議に基づいて制裁を科してきた。核、ミサイル関連物資の禁輸、北朝鮮の企業、個人の国内資産凍結などきびしい内容であり、北朝鮮経済に大きな打撃になっていた。

 2017年8月と11月の制裁では、石炭、鉄鉱石などの北朝鮮からの輸入、合弁、共同企業体、北朝鮮労働者の雇用などが禁止され、石油精製品の輸出は年間50万バレルを上限とされた。

〝瀬取り〟の制裁破り横行

 しかし、制裁の実施状況を監視する国連委員会の報告によると、制裁は頻繁に無視され、2020年1-9月に400回、250万トンに上る石炭が北から中国に輸出された。

 大半が海上で荷を積み替える〝瀬取り〟という手口で、協力しているのは中露とくに中国とみられ、委員会報告は中国東部、浙江省近海に北朝鮮、中国双方の船舶が集結している写真を〝証拠〟として添えている。

 米国などが2019年6月に制裁委員会に提出した報告でも、北朝鮮は同様の手段で、前年の18年1年だけで制限の7倍にものぼる350万バレルの石油精製品を輸入した。

 中国国内には6万人もの北朝鮮出稼ぎ者がなおとどまり、本国に外貨を送金している実態も明らかになっている。


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