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2021年4月6日

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イギリスのボリス・ジョンソン首相は、新型コロナウイルス流行を受けたイングランドでのロックダウン緩和を予定通り実施すると発表した。12日から、パブやレストランが屋外席で営業できるようになるほか、日用品以外の小売店やジム、美容院なども営業を再開できる。

一方でジョンソン首相は「油断することはできない」と述べ、引き続き慎重に行動するよう呼びかけた。

また、抗体保有を示す「COVIDステータス証明(COVIDパスポート)」の導入について検討していると説明した。政府は4月半ばから、スポーツの試合などで試験運用する方針という。

海外旅行については、「外国でのパンデミックの状況」から5月17日の解禁は確約できないとしており、「状況がはっきりするまで」は夏休みの海外旅行を予約しないよう呼びかけた。

その上で、政府は渡航先のリスクを計る「信号機」システムを導入する予定で、週後半にも詳細を発表するとしている。

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12日から解禁されるルールは以下の通り。

  • 飲食店など接客業の店舗は、屋外座席で食べ物やアルコールを提供できる。外出禁止は解禁される
  • マッサージ店や動物園、テーマパーク、ドライブイン形式の映画館や劇場なども営業を再開できる
  • 同じ世帯の人間は、イングランド国内の台所などが完備されている宿泊施設に泊まることができる
  • 図書館やコミュニティーセンターなど公共施設が営業を再開する
  • 美容院やネイルサロンも営業を再開する
  • 結婚式には最大15人まで参加できる
  • 自宅への訪問可能人数も、住民1人につき2人までに増える

ジョンソン首相は記者会見で、これらのルール変更は「データの裏づけ」に基づくものだと説明した。

また、現時点のデータによるとイングランドの感染状況は制限緩和の行程表に沿ったもので、予定通り5月17日に次の緩和ができる見通しだと話した。

その上で、「油断することはできない。他国では流行の波が起きている」と話した。

イングランドでは9日から、全ての市民が週2回のウイルス検査を無償で受けられることになっており、ジョンソン首相は人々に検査を受けるよう呼びかけた。

一方、会見に同席したイングランド主任医務官(CMO)のクリス・ウィッティー教授は、「このウイルスは当分の間、人類と共にあるだろう」と話した。政府の首席科学顧問サー・パトリック・ヴァランスも、このパンデミックによって人々の習慣が長期的に変わることになるだろうと述べた。

サー・パトリックはまた、今回の制限緩和によってNHSに過剰な重圧がかかる危険性は「極めて低い」との見解を示した。

しかし、政府の新型ウイルス対策を策定している非常時科学諮問委員会(SAGE)の小委員会は、屋内での他人との接触が入院患者と死者の再増加に繋がる可能性は「非常に高い」とみている。

COVIDステータス証明をめぐる議論

政府はこの日、COVIDステータス証明や安全に大規模イベントを開くための施策、海外旅行、他者と距離を取る施策などについて見直し策を発表した。

COVIDステータス証明については、国内外で重要な役目を負うことになるもので、パンデミックが続く限りは「日常生活の一部になるだろう」と述べた。

COVIDステータス証明は、新型コロナウイルスのワクチン接種完了者、検査で陰性が証明された人、すでにウイルスに感染し抗体を保有している人などを登録するもの。

イギリスの国民保健サービス(NHS)がシステムを構築し、アプリや書面でワクチン接種証明を表示できるようにする見通し。一方、ワクチンをまだ接種していない人については、最新の陰性証明か、過去6カ月以内に陽性となり自然免疫を獲得している旨が表示されることになる。

ジョンソン首相は、COVIDステータス証明は4月12日の緩和時にも、5月17日に予定される緩和時にも導入しないと強調した。5月の緩和では、パブやレストランの屋内営業が解禁となる見込み。

その一方で、海外旅行については「全ての国」がワクチン接種証明の利用を検討していると述べ、「旅行に関してはこれが対処法の一部になると思うので、やり方を考える必要がある」と話した。

政府の検討案によると、公共交通機関や日用品店、生活に必要なサービスなどで、COVIDステータス証明必要になることはない。しかし劇場やナイトクラブ、音楽フェスティバルやスポーツ観戦といったイベントで導入する可能性があるという。

また、パブやレストランなどで「社会的距離を保つ施策を縮小する役割」を果たす可能性もあるとしている。

しかし、いわゆる「ワクチン・パスポート」の導入は「差別的」だと批判する声もある。議会では、超党派の下院議員70人以上がこの施策に反対する共同書簡を発表。書簡には与党・保守党の議員も40人以上が署名した。

最大野党・労働党のジャスティン・マダーズ影の保健相はBBCに対し、COVIDステータス証明が「人々の自由」に与える影響を懸念していると話した。

与党・保守党の元幹事長で、ロックダウン懐疑派のマーク・ハーパー議員は、COVIDステータス証明でイギリスが二分されてしまうと警告。導入には議会での採決が必要だと述べた。

英産業連盟(CBI)は声明で、導入が決まった場合には、企業に対し「倫理的、法的、そして実務的な困難に対処する」支援が必要だと指摘した。

(英語記事 England's lockdown to ease as planned on 12 April

提供元:https://www.bbc.com/japanese/56645512

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