2024年12月4日(水)

オトナの教養 週末の一冊

2024年4月27日

 今月は旅に持って行きたい一冊を選びました。
ちょっと重い本もありますが、その分面白いです。

謎の巨大湿地帯

イラク水滸伝
高野秀行
文藝春秋
2420円(税込)

 イラクと聞けば、乾いた砂漠のイメージが浮かぶ。しかし、巨大な湿地帯が存在し、歴史的にそこに多くの人々が住んでいたという新聞記事を読んで「こりゃ行ってみるしかない!」と思い立つ。数々の未開の地域を旅して、唯一無二のノンフィクション作品を綴ってきた著者の真骨頂だ。ただし、イラクといえばイスラム国(IS)が台頭したこともあり容易に行ける場所でない。それでも、著者は行きたいという情熱に突き動かされる。同行者の山田隊長のスケッチも必見だ。

医師が「お気の毒」と言う時

ファック・キャンサー 愛と科学と免疫療法で がんに立ち向かう
メリー・エリザベス・ウィリアムズ(著)、
片瀬ケイ(訳)
筑摩書房 2530円(税込)

 日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人はがんで亡くなるとも言われる。つまり、自分自身はもちろん、周囲の大切な人ががんになる可能性は高く、その際には、この忌まわしい病気に向き合わなければならないのだ。本書は、仕事と子育て真っ最中の40代前半NY在住ライターが、ある日突然、がんになり、その治療方法や、内面を書いたノンフィクションだ。「がん」と聞けば怖くて目を背けたくなるが、万が一に備えて予行演習になるエピソードが詰まっている。


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