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2021年4月7日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

対話への期待感しぼむ

 今年夏の東京五輪への不参加については、北朝鮮五輪委員会の総会で決まった。

 体育省のウェブサイト「朝鮮体育」によると、「新型コロナウイルスによる世界的な保健上の危機的状況から選手を守るため参加しないことを討議、決定した」という。

 こうした説明にもかかわらず、菅首相は記者団に対してコメントを避け、丸川五輪担当相も「事情がわからないので」と戸惑いを隠さない。加藤官房長官は「多くの国・地域に参加してもらうよう環境を整えている」と述べ、感染防止に努力していることを強調している。

 2018(平成30)年の韓国・平昌冬季五輪では、北朝鮮と韓国選手が合同で入場行進を行い、宥和ムードを高めた。

 開会式には金正恩総書記の実妹、金与正女史が出席。やはり開会式に招かれた安倍首相(当時)や米国のペンス副大統領(同)との接触はなかったが、文在寅(ムン・ジェイン)大統領らと会談、これが同年の南北、米朝首脳会談へのはずみとなった。

 今回の東京五輪に関しても、文大統領が2021年3月の演説で「韓日、南北、朝日、朝米間の対話の機会になる」と述べ、それが実現すれば、北朝鮮問題をめぐる相互対話の舞台になるという期待もあった。

 五輪参加見送りはコロナ問題という北朝鮮の説明を額面通りに受け取っていいのか。政治的な思惑がなく、言葉通り感染を恐れてのことなら、先方は日本国内での憶測に苦笑しているかもしれない。

  
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