2022年12月10日(土)

Wedge REPORT

2021年6月17日

»著者プロフィール
著者
閉じる

多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

カカオ生産の現場の生活向上に貢献

 ヴァローナで特筆すべきは、「品質に即した金額で取引」していることです。例えばコートジボワールでは、カカオ価格の下落による生産者の収入減を補うため、2017年以降、ヴァローナは政府の保証する最低価格の+47%の支払いを保証しています。

 また最高品質のカカオのために、ヴァローナは自分たちが研究、蓄えてきたノウハウを提示します。今までの「市場に出したらそこまで」と言うある意味、突き放したようなビジネスではなく、双方プラスとなる関係です。

 当然、品質保証をするうえで必要とされるが、実行が難しいとされるトレーサビリティーも「パートナー」として農園と契約をすることで、100%達成しています。

 栽培、収穫、発酵、乾燥などノウハウを教授し、良品のカカオを一緒に生産し、正当な対価を支払う。つまり農園側から見ると、安心して儲けられる=頑張ることができる新しい関係になったというわけです。

 そして、アグロフォレストリーという、自然な森林環境を整えながら、カカオ以外の植物で副収入も得られる手法を導入しています。地球にも人にも優しい農法で、持続可能なカカオ生産が可能となります。

 ヴァローナは、ガーナでの子供たちの教育環境の改善にも取り組んでいます。現在まで6つの学校を設立、4882人の子どもたちがよりよい環境で教育を受けられることになったそうです。

 これらは、ヴァローナがプロ用としてカカオからチョコレートになるまで、全ての段階で「高品質」であることにこだわり続けているからであり、高品質を実現するためにカカオ現場からチョコレート生産のすべての工程で「公正さとごまかしがないこと」を追求した結果なのです。

 これは、SDGs 10の「人や国の不平等をなくそう」に当たります。そして農場で働く人、一人一人にきちんとお金が回るようになると、彼らは子どもの教育に力を入れます。こちらは、SDGs1の「貧困をなくそう」、4の「質の高い教育をみんなに」に当たります。

 質を高めることで、乱開発を防ぐことができれば、直接ではないものの、SDGs15 「陸の豊かさも守ろう」の後押しにもなります。

 関係継続は、片方が頑張ってもダメです。双方納得の信頼関係ができなければ、続けることが出来ません。これはSDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」に当たります。

新着記事

»もっと見る