中国が担っている
〝汚れ仕事〟
そもそもレアアース鉱石の生産・加工は、環境負荷が大きい。さらに、分離精製・電解還元の工程で放射性物質が出てくるという問題もある。中国もこうした環境対応を強化しつつある。一方で、これまで環境規制が緩かったからこそ、中国産のレアアース製品のコスト競争力が高かったとも言える。
JOGMEC金属企画部調査課・奥村維男課長は「日米欧で、中国の寡占状態に対するリスクヘッジは進んでいるが、それでボリュームとしても対応できるかと言えば、難しい。また、上流だけではなく、中流・下流である分離精製・電解還元の工程のリスクをどうヘッジしていくかも課題になる」と指摘する。
そもそも、日本国内における厳格な環境規制や排出基準・管理基準からすると、放射性物質が含まれる鉱石を輸入して処理することは、実質的に不可能だ。加工施設については、中国が独占しているとも指摘できるが、反面、ある意味での〝汚れ仕事〟を中国に押し付けているとも言える。中国以外でこれらの生産拠点をどう設け、技術と人材を育成していくかも課題となる。
先進国で暮らす人々にとって効率が良くエコだと考えられているハイテク機器に使われる原材料が、結果的に環境破壊の元凶になっているという矛盾がある。今や、資源開発と環境問題、人権問題は切っても切れない関係になっており、カネさえ払えば資源を買うことができるという発想は通用しない。どうすればよいか、次節以降、日本の進むべき道を探った。
Wedge7月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■資源ウォーズの真実 砂、土、水を飲み込む世界
砂
part I-1 〝サンドウォーズ〟勃発! 「砂」の枯渇が招く世界の危機
2 ハイテク機器からシェールまで 現代文明支える「砂」の正体
3 砂浜、コンクリート…… 日本の知られざる「砂」事情とは?
土
part II-1 レアアースショックから10年 調達多様化進める日米
2 中国のレアアース戦略と「デジタル・リヴァイアサン」
3 〝スーパーサイクル〟再来 危機に必要な真実を見極める眼力
水
part III-1 「枯渇」叫ばれる水 資源の特性踏まえた戦略を
2 重み増す「水リスク」 日本も国際ルール作りに関与を
3 メコン河での〝水争奪〟 日本流開発でガバナンス強化を
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砂
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