2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月19日

 9月28日付ウェブForeign Policy誌で、James Holmes米海軍大学准教授は、「岩礁の戦い」と題して、日中が尖閣諸島を巡って戦った場合どうなるのかを論じています。中国優位と言うのがホームズの見解で、また、米国の支援もそれほど熱意のあるものにはならないだろう、と述べています。

 すなわち、無人島などの島嶼防衛においては、周辺海域、空域で優位を持つことが最も重要である。島に警備隊などを置いても、周辺海域・空域の優位を失えば、孤立させられ、負ける。

 もちろん、よく武装された地上軍、例えば陸上自衛隊が対艦巡航ミサイルで海からの攻撃に反撃し、空からの攻撃やミサイル攻撃に対し、地下にこもると、少数でもなかなか追い出されないだろう。しかしこれも時間の問題で、結局、空と海を支配する側が島の運命を決める。

 今日、尖閣の戦いが起これば、たとえ日本が島を保持し、米が島の防衛を約束していても、地理と兵力の観点から、中国が有利となろう。

 地理的には、尖閣諸島は無防備の琉球列島の南の端にあり、日本本土より台湾に近く、沖縄と中国本土の中間にあるうえ、いくつかの島からなる。天然の防御はそれほど強くない。

 人民解放軍は、全面攻撃ではなく、島の一つを奪い、そこに武器を置き、他の島にいる陸上自衛隊をそこから攻撃できる。他の島は時間をかけて、サラミ戦術で取って行ける。島は、全てを外部からの補給に頼らざるを得ず、中国は島の周辺の海空の一部を支配するだけで、この武力の競争に勝ち得る。

 兵力の面ではどうか。限定海洋戦争は、本土を反撃から守ることが出来る側の特権である。日米同盟は、尖閣諸島のために、中国本土を攻撃する可能性はない。日本にはその能力はないし、核抑止の論理は米国がそうすることを排除する。

 もし日本が長期的に島を保持しようとするのなら、日本は幾つかの基本的なことをする必要がある。

 第1に、人民解放軍の挑戦を受けつつ、島へのアクセスをどう開いておくかを考えなければならない。琉球やその周辺での海・空軍力の展開が必要であろう。

 第2に、日本は、中国が尖閣周辺に接近するのをどう阻止するか考えなければならない。例えば、与那国島に移動式対艦ミサイルを配備すること、周辺海域に機雷を敷設すること、対艦ミサイル装備の小型戦闘艇の配備などである。


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