2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2021年7月21日

立地により災害リスク異なる

 全国の水害など自然災害リスク対策を研究している横山芳春・だいち災害リスク研究所長は、土石流で大きな被害が起きた熱海の事例について、現地視察をしたうえで「土石流が起きた現場の土地の成り立ちを見ると、この場所はもともと繰り返し土石流が堆積してできた地盤だ。土石流の警戒区域で、まったくのノーマークの場所ではなかったのがポイントだ。盛土などの人工的な土地改変については、今後、静岡県の調査が進められるが、トレンドとしては残土などの処理がこれから厳格化されていくだろう」と述べた。

 これまでの土石流の現場を見てきた結論として「(土石流が)起きて不思議だという場所では起きていない。自然災害が起きやすいところで起きており、これに近年の気候変動と人工的改変などが被害の増大に拍車をかけている。建物の立地により災害リスクが異なるので、災害リスクが低い立地を知っておくことで、住まいの被災するリスクを最大限抑えることができる。できれば家を買う前に、避難の必要な場所かどうか、どんな災害に注意すべきかを知っておいて買うのが望ましい」と説明した。

想定外のことが起きる

 土砂災害には①急傾斜地のがけ崩れ②熱海市の事例のような土石流③地滑りーの3つがある。「一番気を付けてもらいたいのが土石流で、大量の土砂は一気に流れ落ちるもので、イエローゾーンであっても可能な限り避難が必要で、広島市の事例ではイエローゾーンの下手まで土石流が来ているので、ゾーンの下手とか脇でも注意が必要だ。またハザードマップはピンポイントのリスクを判定する目的で作られたものではなく、雨量などの想定でできているが、必ず想定外のことが起きる。このため、ハザードマップの色がついていないところが安全だと考えるのは間違いだ。静岡大学の調査によると、洪水や河川の増水などの被害で亡くなった方の約6割が浸水想定区域(ハザードマップ)外になっており、ハザードマップの外にあっても安心はできない。むしろ低地など、どういう地形の上に建物が建てられているかを知っていることが重要だ」と指摘した。

  
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