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2021年6月22日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 人事院は21日、2021年度の国家公務員総合職試験(キャリア職)の合格者を発表した。合格者(大学院生を含む)1834人のうち、東京大学の卒業生は256人で昨年度の249人よりは増加、16年度から減り続けてきた合格者数が下げ止まる結果となった。しかし、合格者数に占める東大卒の比率は、13.9%で、昨年の14.5%を下回った。

黄昏の霞が関(vladimir zakharov/gettyimages)

志願者は14.5%減、ピークの3分の1

 

 総合職試験の申込者数は1万4310人で、前年度より14.5%少なかった。ピーク時の1996年度(4万5254人)からみると、3分の1近くまで落ち込み、大学生の官僚離れが進んでいる。

 大学別合格者は、1位が東大、2位が京都大学の115人まではこれまで通りの定位置だったが、3位が北海道大学の80人、4位が岡山大学の78人とランクアップした。以下は早稲田大学の77人、慶応大学の68人、東京工業大学の67人、東北大学の65人、千葉大学の57人の順。北海道大は前年より11人増、岡山大は同22人増やすなど地方大学の躍進が目立った。女性の合格者数は561人で比率は30.6%。

 東大卒の合格者数は下げ止まりはしたものの、19年度までは300人以上、16年度以前は400人以上の合格者を出していたのと比べると、官僚志向は減る傾向にある。その理由は、長時間残業が嫌われていることのほか、不祥事などによる官僚たたきが挙げられ、「霞が関」のブラック職場化が指摘されている。国政に参画できると期待して入省しても、こうした現実とのギャップに違和感を抱く若手官僚が多いようで、官僚への人気をなくしている。

 合格者は「霞が関」の中央官庁に就職し、国政の中枢を担うことが求められる。しかし難関試験を突破して入省しても、若手キャリアの退職が目立っている。昨年11月に内閣人事局がまとめた調査で、20代の国家公務員総合職の退職者数が19年度は87人になったと発表、河野太郎国家公務員制度担当相は若手退職者が増えていることについて「『霞が関』は危機に直面している」と述べ、総合職試験の申し込み数の減少には「働き方改革を進め、『霞が関』をホワイト化し、優秀な人材が来てくれるよう努力する」と職場の改善が必要とみている。

 コロナ禍対応などで、多忙を極める厚生労働省では、長時間労働をなくすための改善が行われてはいるが、残業時間を大幅に改善するところまでには至っていないようで、さらなる改革が求められている。デジタル技術などを活用して、業務を効率化していかない限りは、キャリア職への志望者は増えてきそうにない。

 学生の官僚離れ傾向が続いていることについて、ベネッセ i-キャリアの桜井貴史・商品サービス本部本部長に聞いた。

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