Wedge REPORT

2020年8月21日

»著者プロフィール
閉じる

中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

(ranmaru_/gettyimages)

 人事院が21日に発表した2020年度の国家公務員総合職試験(キャリア職)の合格者をみると、合格者(大学院生を含む)1717人のうち、東京大学の卒業生は249人(昨年度は307人)にとどまり、300人を割り込んだ。

 東大卒の合格者は16年度までは、ほぼ400人を超える合格者を出していたが、以後は漸減傾向が続き、20年度は前年度より50人以上も減らす大幅減少となった。大学別の比率でみても、かつては3人に1人が東大卒だったが、20年度は14.5%と過去最低水準となった。

 総合職試験の申込者数は1万6730人で、合格の倍率は9.7だった。大学別では、1位が東大、2位が京都大学の131人、3位が早稲田大学の90人、以下は北海道大学の69人、東北大学の65人、中央大学の60人、立命館大学の59人、岡山大学の56人などの順で、東大や京大に集まっていた合格者が私立大、地方大学を含めた分散化の傾向がみられる。女性の合格者数は511人で比率は29.8%で昨年度の31.5%を下回った。

 東大の卒業生がここまで、キャリア職の合格者を減らした理由は、国政の企画立案を担う官僚職場の勤務条件が魅力をなくしていることが挙げられる。官僚のアンケートの結果などを見ると、残業時間が多いことが一番嫌われているようだ。特に「国会対応」と呼ばれる野党議員の質問に対する政府側答弁の準備にかかる際限のない待機時間には絶望感を感じるキャリアも多いようで、結果的に数年で退職するキャリアが増えている。

 その一方で、民間大手と国家公務員を比較した場合、同じ年齢ではでは民間の方が待遇が良い上に、外資系コンサルタント、ベンチャー企業などでは年齢や年次に関係なくやりがいのある仕事ができるため、残業時間が多くてきついイメージのある官僚より好まれる傾向がある。

 しかし、合格者がそのまま「霞が関」の官僚になるわけではなく、腕試しで受験して合格した学生もいる。合格者は希望する官庁の面接を受けて合格すれば、晴れてキャリア職に就くことができる。財務省などはこの数年も、キャリア採用者のうち9割前後が東大卒で占められており、東大卒の合格者が減ったからと言って、必ずしも「霞が関」キャリアの東大卒が大幅に減るというわけではない。

関連記事

新着記事

»もっと見る