今回は、コスト改善コンサルティングやWebメディアの運営、マネジメント改善ツールの開発を手掛けるRELATIONS(リレーションズ)株式会社のマーケティング・ブランディングの責任者・舟迫(ふなば)鈴さんにお話を伺った。
舟迫さんは2007年に東京大学法学部を卒業し、同年にアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズ日本法人に入社。2年後のリーマン・ショックで経営破たん後に、イギリスのオックスフォード大学に1年間留学。帰国後、香水を製造販売するベンチャー企業に就職。3年強の勤務後、世界1周の旅に。2015年から、RELATIONSに勤務する。ビジネス関連のWebメディア「SELECK(セレック)」の編集長を経て、現在はマーケティング・ブランディングに関わる。舟迫さんにとって「使えない上司・使えない部下」とは…。
相性のよかった人や好感を持っていた人が「使える上司」
筑波大学附属高校から現役で東京大学(文科一類)に入学(2003年)しました。高校の頃はあまり勉強をしていませんでしたが、自由な校風で楽しかったですね。先生方のレベルが高い!教科書の奥付に載る方も多く、学問が大好きといった感じでした。授業もすごくユニークで、世界史の授業なのにほぼ中国史だったり…。入学時は1学年6クラスで、生徒は200人程。現役で東大に合格したのが、約20人。浪人を入れると、40人程かと思います。
東大入学後は数カ月、司法試験の勉強をしてみましたが、自分には全く合わなかったのでやめました。官僚? 当初から関心がありませんでした。校則を守るのが好きじゃないような子でしたから、役人になるのは性格として合わなかったように思います。20歳から、ダーツバーなどでアルバイトをして得たお金をもとに株式投資を始めたのです。子どもの頃から、お金が増えていくことに関心がありました。この時期の株式投資が、金融機関に就職しようと思った1つのきっかけです。
就活(2006年)は、外資系金融機関のみ6社ほどを受験したのです。日本のメガバンクなどには関心がありませんでした。「東大生だから…」という感じでアプローチをしてくる会社にも、魅力を感じませんでしたね。東大法学部の学生でも、採用試験で落ちますよ…。6社のうち内定はリーマン・ブラザーズを始めとした3社で、いずれも米系。不採用はUBS証券やバークレイズなどで、いずれもヨーロッパ系。米系とは相性がよかったみたいです。会社説明会や面接でのサバサバした雰囲気が好きでした。
英語ではじめて劣等感を知る
結局、第一志望でもあったリーマン・ブラザーズにお世話になることにしました。就活の自己採点としては、100点満点です(笑)。入社(2007年)すると、まるで世界が違っていました。それまではなんでも努力すれば1番になる可能性があったように思っていましたが、大きな劣等感を初めて持ったのです。
それが、英語でした。同期生には海外帰国子女が多くて、ビジネス・イングリッシュが完ぺき。勉強すれば、そのレベルになんとか追い着くとは思いますが、その上には行けない感じでした。入社前、ピラミッドのいちばん上に立ちたいと考えていましたから、どのようにして勝っていくか…これが悩みでした。ある頃から海外留学をしたほうが、レベルの高い英語をマスターするのは速いのかもしれないと思うようになったのです。
配属されたのはエクイティ デリバティブ(株式を指標としたデリバティブ)取引を扱う部署で、上司はマネージャーの男性。私が仕えた歴代の上司の中でも、とても好きな方です。金融のマニアで、すごく楽しそうに話します。それを聞いていると、勉強意欲が湧いてきて前向きな気持ちになりました。ところが、突然、辞めさせられたのです。社内政治の巻き添えになり、見せしめのようでした。その後、他の金融機関に移り、ご活躍をされています。
「使える、使えない」で言えば、この上司はまさに「使える」方でした。私は、相性のよかった人や好感を持っていた人を「使える上司」として思い起こします。結局、「使える、使えない」は主観の話なのではないかな、と考えています。