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2020年2月3日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 経済産業省の若手官僚(キャリア職)がこの1年間に23人もの大量退職していたことが明らかになった。同省ではこれまでに15人程度辞めたことはあったが、これほどの大量退職したことは過去に例がないそうで、その理由が何なのか問題視されている。

 同省は「霞が関」の中央官庁の中でも産業、エネルギー政策を担うエリート官庁で、国家公務員試験(総合職)の合格者の中でも優秀な人物を毎年50人程度、採用してきている。

(SakuraIkkyo/gettyimages)

転職に有利?

 辞めたのは入省して20年以内の若手キャリアで、採用を担当する同省秘書課では「新規分野が広がっている民間から、経産省のキャリアのある人材を求める動きが強まっているため、転職する人が増えたのではないか」と分析、若手キャリアを引き留めることに苦労している。産業界では、IT、バイオ、情報通信など次々と新しい分野でのベンチャー企業も増えており、こうした分野からの引き合いもあるようだ。転職先の多くは職場の環境面でも同省での待遇よりも恵まれているケースが多い。

 「霞が関」のキャリア職と言えば、国政の中枢を担当する仕事のため、中途退職などは少ないのではないかとみられていたが、実態はそうではないようだ。特に経産省の場合は、就職した時から自分のキャリアアップのために同省で働いた実績を次の仕事に利用しようという人物もいるようだ。かつてのように「長時間残業もいとわず滅私奉公して、国のために尽くす」といった殊勝なマインドを持った人たちばかりではない。

 それにしても国の政策を担おうと夢と希望を持って就職したはずなのに、途中で退職するのはせっかく育った人材がよそに移動してしまい、国民経済的にはもったいない気がする。職業の選択は自由だが、経産省は中途退職が多く出ないような対策を考える必要があるのではないか。

人気薄れたキャリア職

 2019年度の国家公務員総合(キャリア)職試験の申込者数を見ると、1万7295人で初めて2万人を割り込むなど、国家公務員を志願する学生の人気に陰りが見えている。この1、2年は、財務省の公文書改ざん、文部科学省幹部の汚職逮捕、厚生労働省の毎月勤労統計数字のミスなど、主要官庁で不祥事が相次いで起きていることも、「霞が関」のイメージを悪くしている。こうしたことも影響しているせいか、1996年には約4万5000人が総合職試験を受験していたのと比べると、半数以下にまで落ち込んでいる。

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