日本の漁業は崖っぷち

2012年11月21日

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「すべては資源保護管理から!」
「漁業者の考え方の違い」

 日本の水産業は、「旺盛な需要の増加と水産物の供給増加」という世界で水産業が成長している現実を知る立場からすると、見ていられない惨状となっています。ノルウェーにとって、日本は水産物の最重要な輸出先の一つです。本来であれば、日本で魚が獲れない方が、魚がより売れるので商売面ではよいのかも知れません。水産物の輸入業者にとっても、国内の水揚げが少ない方が、水産物はよく売れるのです。しかしながら、日本の水産業が陥ってしまっている過酷な状況は、貿易云々以前の深刻な状態です。この崖っぷちの状態と、その原因が正しく伝わっていないことこそが、日本の水産業にとって大きなリスクとなっています。

 視察者の方の報告書を引用します。下記の内容は、恐らく多くの水産加工業者の方々に当てはまってしまっていることでしょう。しかし、これが日本の水産業の典型的な歴史の一コマなのです。

「すべては資源保護(管理)から!」 「漁業者の考え方の違い」
大型巻網船のブリッジ内、その中に赤く輝くモニターがあった。船長が「今日獲ったサバの魚群探知機の記録だよ」と教えてくれた。真っ赤! 赤い部分のサバが、モニターの半分を占めるほどだ。「これぐらいだと全体で1,000トンくらいの魚だと思うけど、今日は半分の500トンを獲ってきたのだ」という。「漁に出て魚がいなかったことってないのですか?」と訊くと事も無げに「ないね」という答え。時期が来れば必ずサバは漁場にいて必ず決まった量(漁獲枠分)を漁獲できると信じて疑っていないのだ。大西洋で養殖しているようなもので、餌が要らない分もうかる。日本ならどうだろう? 漁師に「今日の漁の予想は?」と訊いてみたらどうだろうか?……。

ノルウェーの巻網船の船長にさらに問う。「もっと魚を獲りたいとは思いませんか?」、「それは…もっと獲りたいと思うけれど、漁獲枠がないと獲れないから。そういうルールだからね」。ノルウェー人でも獲りたいのだ。きちんとした国のルール作りができていて、守られる仕組みも有効に働いている。日本でも現場の漁師に任せるのではなく、国が戦略として取り組むべきことであり、それこそ政治の力でなすべきことであろう。

 さらに報告書は続きます。

自社の話をさせてもらおう。30数年前、近海のスケトウダラが大量に獲れ続けることが前提のビジネスモデルを完成。毎日200トンのスケトウダラが獲れ続ければ、巨大な利益を生むはずだった。しかし、三陸沖から魚が消え、北海道の魚に変わった。それでも獲れれば利益が上がった。しかし北海道の魚も2年で激減した。後に残ったのは、空の冷蔵庫と動かないプラント。生産量が想定の稼働率を下回った瞬間から製造業の悪夢の日々が始まる。

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