中国の強硬姿勢の背景にタカ派の声?
尖閣をめぐる対日強硬方針は胡指導部から習指導部に引き継がれ、当面は膠着状態が続くだろう。党大会の活動報告では「エコロジー文明の建設を大いに推進する」という前回報告になかった先進的な章の末尾に「断固として国家の海洋権益を守り、海洋強国を建設する」という極めて不似合いな強い言葉が盛り込まれた。
中国の強硬姿勢の背景には、軍部や国家海洋局などのタカ派の主張が影響しているとみられるが、報告の文言もタカ派の働き掛けで挿入された可能性もある。
新指導部 まずは「慣らし運転」
国際社会では、軍拡や海洋権益防衛のためとする中国の強硬路線への懸念が根強く、尖閣をめぐる日中対立が「中国脅威論」に拍車をかけている。こういうときこそ、新指導部は内外に前向きなメッセージを発してほしい。党長老の影響を排して、民主化と国際協調、そして対日関係の改善に真剣に取り組むべきだ。
ただ、新指導部が本格的にスタートするのは、来年3月の全人代以降であり、当面は政権移行期にあって社会の安定を第一にした「慣らし運転」が行われるだろう。
民主化と国際協調を
習氏は新指導部発足翌日の16日、初の政治局会議を開き、党大会報告の主眼となった「『小康社会』(いくらかゆとりのある社会)の全面的建設」を進めることを確認。当面は胡指導部から託された「宿題」として、党大会報告をきちんと学習、理解する必要性を確認した。
党大会報告の内容や新指導部の顔触れを見ると、直ちに新しい政策を打ち出すとは到底思えない。だが、習氏もいずれは党長老や古い政治思想のくびきを離れ、民主化と国際協調へかじを切らざるを得ないだろう。
さもなくば国内では国民の支持を失い、国際社会では孤立し、共産党政権の存続は危うくなってしまうだろう。
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