2024年12月5日(木)

ウェッジ新刊インタビュー

2012年10月31日

まもなく行われる“十八大”を前に、各国が中国の動向を探っている。胡錦濤から習近平へと無事政権は移行するのか、また移行後はどのような中国へと変貌を遂げるのか。
「WEDGE」での連載を元に大幅に加筆修正していただいた、小社刊『チャイニーズ・パズル』の著者・富坂聰氏に、現在、そしてこれからの中国についてうかがった。

──「WEDGE」での「チャイニーズ・パズル」は、どういうきっかけで始まったのでしょうか?

富坂聰氏(以下、富坂氏):中国に関する本は多数出ていますが、痒いところに手が届くという本がなく、また中国が巨大すぎる国であるがゆえに単純化されたワードで表現されがち、というのが不満でした。中国という広い国では、日々いろんなところでいろんなことが起こっています。そういうことを、ひとつの象徴的なことで何か見せられないか、という思いがいちばんのきっかけです。

 また、すでに多くの方がご存じだと思いますが、昨年から、薄煕来失脚のきっかけとなった王立軍のアメリカ領事館亡命未遂事件や、弁護士・陳光誠のアメリカ領事館亡命未遂事件など、大きな問題が勃発しました。その事件について描くときに、その渦中にいる、いわゆる日本人が知っている登場人物数人で中国を描くということに限界を感じたんです。それに、いままでのやりかたでは、日本のチャイナウォッチは進歩しない。これまでの事件を見ていても、大きな政変を見ていても、必ず地方から変わっていると感じていたので、地方に焦点を当てて中国という国を描こうと思いました。

──地方の中で特に注目している政治家について、お聞かせください。

富坂氏:やはり、薄煕来と汪洋ですね。ただ、次の中国を読むという意味では旬をすぎたかもしれません。

 そのほかでは、胡春華、孫政才でしょうか。まだまだこれからの人たちですが、彼らに早くから注目していくという道筋を作ったという意味では、意義があったと思います。孫はとにかくすごく面白くなくて、こんな面白くないやつがいるのか‥‥と思いましたが(笑)。胡春華あたりの世代からは、日本の政治家に似てきているような気がします。いわゆる、安定志向というのが大きな特徴ですね。


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