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2022年1月19日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

クルーズとの提携はどうなった?

 GMが最も“大企業病„に見えたのが、「スーパー・クルーズ」と名付けた自動運転システム開発と、クアルコム社との提携だ。実は昨年のCESでは、カリフォルニア州のスタートアップ、クルーズ社との提携が発表され、クルーズの株式の大部分をGMが保有、同社をGMの傘下に置く、とされた。クルーズはカリフォルニア州ではアルファベット社のウェイモに続く自動運転の公道走行実験距離を誇り、ウェイモに続いて自動運転の無人タクシーの認可申請を行っていた。

 ところが昨年12月、クルーズCEOだったダン・アンマン氏が突然辞任を表明、そして今回のクアルコムとの提携から、GMとクルーズの経営陣との間に何らかの齟齬があったことがうかがえる。そもそもアンマン氏は投資銀行の出身でリーマンショック後にGMの経営が破綻した時に同社に参加、経営の立て直しを指導してきた人物でもある。クルーズ獲得と同時に同社のCEOとなった。

 もちろん大企業が獲得したスタートアップを十分に活かせず、結局は別の企業に乗り換える、というのは珍しいことではない。しかし提携発表からわずか1年で、詳細も明らかにされないままクアルコムとの提携、というのはやはりGMという企業の弱点を示すもの、という印象はぬぐえない。GMは昨年には燃料電池の大型トラックメーカーとして一時有名になったニコラ社への出資と提携を行い、ニコラ社のスキャンダルが発覚するとすぐに提携を取り消す、といったドタバタも露呈している。

 良さそうである、話題になっている、と考えられる技術や企業に資金力にモノを言わせて買収や提携を行うが、不都合な点があるとただちに切り捨てる。スタートアップをともに育成しようという姿勢が見られない。

 株価の動きを見ても、GMは1年前が54ドル、現在が61ドルとほぼ変化がないが、フォードは10ドルから25ドルへと2.5倍になっている。バブルと言われ続けるテスラも844ドルから1050ドル、と続伸している。なにか画期的な変革が起こらない限り、大企業GMの未来はそれほど明るくないのでは、と感じられてしまう。

  
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