フォードに比べても印象が薄い
米国でのGMの最大のライバルであるフォードは、「マスタング」の「マッハE」というEVモデルがそれなりに好調(昨年上半期の売上は1万1068台)、また「F150」ピックアップトラックのEVバージョン、「ライトニング」を発表したときは就任間もないバイデン大統領がフォード工場を視察に訪れ、自ら試乗したことも話題となった。
今回GMが「シルバラード」をラインに加えたのは、加速するEVピックアップトラック市場に遅れを取るまい、という考えからだ。米国ではピックアップトラックや大型SUVの売上が全体の過半数を占め、ベストセラーである「F150」は乗用車のベストセラーである「トヨタカムリ」の倍以上も売れている。
長年「F150」と「シルバラード」はトップセールスを争ってきたが、ここに今年から「テスラサイバートラック」や「リビアンR1T」といったスタートアップによるピックアップトラックのEVが参入する。特にサイバートラックには現時点で125万台もの予約が入っている。フォードが「F150ライトニング」の開発を急いだのにはそれなりの理由があった。
GMはこれらのEVピックアップとほぼ同様のスペック、価格を揃えて「シルバラード」のEVバージョン投入を発表したのだが、市場に与えるインパクトという点では弱い。これまでのEVピックアップはそれなりに話題になっただけに、後出しでなんとか同レベルのものを揃えた、というイメージが拭えないためだ。
「エキノックス」にしても同社のボルトのシェアを食う存在にしかならないのでは? と思わせられる、際立った魅力というものが感じられない。フォードが人気車種である「マスタング」を投入したのと比較すると、せめて「コルベット」、「カマロ」といったモデルで勝負できなかったのか、という印象になってしまう。