うつ病蔓延時代への処方箋

2013年2月12日

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「精神論を強調しても得られる効果は少ない。社員の状況を把握した対応こそが必要だ」と渡部卓代表は強調する。

 私は米国のノースウェスタン大学のビジネススクールで学びました。米国では経営学と心理学の領域が近接しており経営者やリーダーを目指す人は、組織論、マーケティング、ファイナンスとともにメンタルやストレスマネジメント、ワークライフバランスを学びます。上に立つ人は常に社員の心の健康やその土台となるワークライフバランスを気遣うことを重視する教育をしています。しかし、日本は精神論が先にある。「くよくよしないでポジティブに捉えろ」などと社員たちに説教するトップの話は、講演や雑誌の談話でよく目にします。一面では正しいのですが、それを社員たちが受け入れられる状況かどうかを全く無視していることが多い。つまり職場心理の現実を知らないということです。

 トップが職場うつの原因と必要な対策を知り、理解し、前向きに取り組めば、大きく改善に向かうことができます。職場のメンタルヘルス対策はトップの姿勢が色濃く反映される分野です。休業者が増えてしまった後に人事総務からの報告で気が付くというケースが多いのではないでしょうか。

 経営トップが、心身ともに遊びの部分を理解し、システムや組織の中で反映させていけば働く環境の改善が進むはずです。自動車の安全運転にはハンドルの遊びが必要なように、業績を押し付け過ぎず、結果による管理至上主義にならないことが肝心。職場心理を勘案して、効率主義の方針による働き方や社風を変えることです。それを人事が産業心理学を勘案して立案しトップに提案する。そのためにも変化を好む型破りな人を人事に集めることも考えていくべきだと思います。

セルフケアで自己防衛をすべき

―― 大企業ではうつ対策を講じている会社が増えた一方で、何もしない中堅中小やベンチャーも依然として多く2極化しています。厚労省は全事業者にストレスチェックなど義務化する法案を用意していますが、効果があるのかどうかわかりません。会社をあてにできないのなら自ら対策を講じることも必要では。

渡部:会社の対策を待たずに、自らストレスのセルフケアを明日から心がけるべきです。腹式呼吸をして瞑想してみることは心を落ちつかせます。軽い運動や散歩するだけでも効果はあります。近くのスポーツクラブのメニューも最近ではとても工夫が見られます。軽い運動の趣味を持つことも大切です。カラオケやコーラス、楽器の演奏などはお勧めです。

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